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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
719/1586

8-203 ぶり鰤ブリィ


藁で作った靴を履き、楽しそうに歩くイイ。箱魚籠はこびくを抱え、側で見守るミカの背には、ぶりが入った大きな籠が。



冬といえば鰤! というコトで、久しぶりに舟を出した。


イイは狩りより釣りに向いている。釣り糸を垂らすと直ぐ、次から次にヒョイヒョイ。アッと言う間に魚籠がイッパイ、鮮魚仲良くビッチビチ。



『そろそろ戻ろうか』と声を掛けた時、あたりが来た。


大きい! しなう竿を強く握り、踏ん張る。舟が大きく傾いたので、闇を伸ばして支えた。魚も『負けるモンか』と、力を尽くす。



ミカから伸びる闇にイイ、びっくり。


悪いモノでは無いと見抜き、直ぐに慣れた。戦いは続き・・・・・・ブチッ。釣り糸が切れました。



苦笑いしながら闇を戻すと、パクパク。いや、ガブガブと何かが。思い切って引き上げると鯉幟こいのぼりのように、ブラァンと鰤が並んでいた。


イイ、大喜び。






「こんにちは、おさ。」


「こんにちは、イイ。釣れたかい?」


長は朝、手を繋いで海へ向かう二妖を見送った。竿と魚籠びくを持っていたし、浦頭うらがしらから『舟を貸した』と聞いていたので、『釣りだろうナ』と。



「はい。いっぱい釣れました。」


ニコッ。


「おや、それは?」


ミカの背に、見慣れないモノが。黒くて大きな籠のようだが、何だろう。


「鰤です。ビックリするホド、多く釣れました。」


ミカが籠の蓋を開けると、そこには・・・・・・。ぶり鰤ブリィ。


「えっ!」


長だけじゃナイ。見た人みんな、オッ魂消たまげる。



「良かったら、どうぞ。」


舟に山盛り、釣れましたからネ。


「貰ってイイの?」


子らが目を輝かせ、ワクワク。


「良いよ。家一つに、一匹な。」


「ハイッ。」



今夜は鰤のフルコース。刺身、塩焼、照焼などナド美味おいしいよ。寒ブリは特にネ。




「ロロさま。鰤が釣れたので、神に。」


ゴクリ。


「あの・・・・・・。」


ハッ!


「ウム、確かに。」






イイは食べ盛り。つまりミイもヨヨも、ムゥも食べ盛り。


今は冬、狩れなくはナイが難しい。だからイイを社の司に預け千砂ちさ会岐あき、大石の順に、魚を配って回る事にした。



千砂は大磯川が近いので、いろいろ釣れる。会岐と大石は山の中。当たり前だが、釣れるのは川魚。つまりいづれも、海水魚を一匹マルマル食べるなんてまれ




「美味しそう! 食べてイイ? ミカさん、ありがとう。」


ミイは食いしん坊。お礼を言う前に、本音が出ました。



「ミカさん、いつもありがとう。いただきます。」


ヨヨはシッカリ者。稀に策に溺れるが、良い子だ。



「わぁぁ! 大きい魚。ありがとう、ミカさん大好き。クベさん、食べてイイ?」


ムゥは聞き分けが良い。体が大きいコトもあり、好き嫌いせずモリモリ食べる。


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