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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
711/1594

8-195 将来、楽しみだ


「ムメ、シッカリ。」


「ハルっ! う、生まれるぅ。」



豊田のおさに狙われたムメを連れ、豊井から逃げ出したハル。いろいろ整えていたが力尽き、森の中で寄り添いグッタリ。


そんな二人を助けたのが、谷河たにかわの狩り人ジン。



谷河で生きるてだてを身に付け、同じように連れて来られてた人たちと、小柄山こづかやまに村を作った。その中には狩り人、ジンの姿も。


引っ越したが今も、谷河と繋がっている。




「オギャァ、オギャァ、オギャァ。」 ヤットデタ、ココドコ、ツカレタァ。



湯で清められ、柔らかい布でくるまれる。母の元へ連れられ、ムニャムニャ。


疲れてるの、お願いだから休ませて。生きて来た中で、最も大事おおごとだった。間違いナイよ、うんうん。



「ムメ、男の子だよ。」


「フフッ。目の辺り、ハルにソックリ。」


お猿サンみたいな赤子を見つめる、若い二人。



「アブゥ!」 ナンダコリャ!



見覚えのない、光輝く珠を握りしめていたのだ。嬰児みどりごでなくても驚く。てのひらをパッと広げ、マジマジと見ている。なのに大人は驚かない。


見えてナイ?


え。どういうコト、これ。ねぇねぇ、見てホラ。見えるよね。見えないの? ・・・・・・見えないんだ。






「何だ、この光は。」


深山社みやまのやしろに居た社の司が、慌てて産屋うぶやへ走る。



「生まれました。女の子です。」


我が子を抱いた禰宜ねぎが、ソッと嬰児の顔を見せた。


「祝。」


「似てますよね。」


「口元がって、そうではナイ。」



初産はタイヘンだが、安産だった。親孝行な娘です。


我が子の顔を見て安心したのか、母はグッスリ。父に抱かれた娘も疲れているのに、見開いている。



「ホギャァ!」 イヤァァ!



イキナリ広い所に出て、グッタリ。ウトウトして気が付いたら、エッ。手から光が出ていた。ただ出ているダケではナイ。ビヨンと伸びていたのだ。



「ホギャァ、ホギャァ!」 ナニコレ、ウソデショ!



コワイこわい何よコレ、ってかココなに! 気持ち悪いのがウヨウヨしてる。どうなってるの。嫌よイヤ、来ないで近寄らないでぇぇ。


ブンブン。




「これは!」


パパ、びっくり。


「村、いや深山みやまごと清められた。」


社の司もビックリ。



ブンブンしました、間違いアリマセン。でもソレだけ。なのに『ポッと出』の嬰児が、闇を撫で斬りって。



「こんなに清らな赤子、初めてだ。祝と禰宜の子だからか。ハッ、神のめぐし子か。山守から隠さなければ!」


社の人たち、大慌て。



社の司も祝の禰宜も、神に仕える人でしょ。なのにコレ、見えてナイの?


私、決めました。もうコレ出しません。とっても疲れた、今から寝ます。お願いだから静かにして。


・・・・・・スヤァ。


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