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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
704/1585

8-188 何と愚かな


安の外れの分かれ道。南へ進めば安井、北へ進めばうねに出る。北から風に乗り、運ばれてきた。



禍禍まがまがしいな。大祓おおはらえに耐えたが、深く傷ついている。」


闇を六つに伸ばし、シュルシュル戻してから言った。


「ミカさん、オレ良く分かりません。ケドこの感じ、気持ちが悪いです。」


「これはな、クベ。腐った魂の臭いだ。」


「魂って、腐るんですか?」



外に出さず傷つけず、守り続ければ腐らない。鷲掴みされたり、引き抜かれれば腐る。一度ひとたび、腐った魂は決して、元には戻らない。


命と魂は違うが、似ている。心の臓を掴んだり、引き抜けば死ぬだろう? 一度、死んだモノが息を吹き返す。なんてコトは無い。人でも獣でも同じさ。



「ってコトは一度、死んだ妖怪とかの。」


「だと思う。人なら、こんなに臭わない。」


「・・・・・・確かに。」



クベもミカも、むくろを見慣れている。戦場いくさばに残された骸の臭いを、嫌というホド嗅いだ。鳥に目をついばまれ、ガランとした骸の顔。獣に食い散らかされたこうべ



「どうした。」


「あんな思い、させたくない。」


「あぁ、だから守るんだ。オレたちの手で。」


「はい。」



祝の力を持つ人は、男でも女でも守られる。だから祝人はふりと祝女はふりめも、戦場を知らない。


ユキは思った。二妖とも若いのに、言の葉に出来ないような事を嫌というホド、見聞きしたのだろうと。



「力を失ったか奪われた何かが、うめいている。」


「近づかない方が良いですね。」


「クベさん、ココからでも投げ込めますか。」


「そうだなぁ。オレには難しいケド、ミカさんなら。」


「ヨシ、任せとけ。」



包みから出されたアキは、直ぐに逃げ出す。走ってつまずき、転びそうに。何とか立て直し走り出すも、黒い壁にゴンと強くち当たった。


クラクラしながら右へ。と直ぐ、帯のようなモノにグルグル巻きにされ、打ん投げられる。



「ギャァァァァァ。」


クルクル回りながら空を飛ぶ。


「グハッ。」


采に落ちた。



・・・・・・ココ、どこ? えっ、来ないで。



「アンナさま。」


「えぇ、マリィ。」



上質で濃厚な闇の力を感じる。コレを取り込めば、きっと。そんなに怯えないで。痛くしないから。


「イヤァァ。」


バリッ、バリバリッ。ゴックン。


「ハァァ。力がみなぎる。」


・・・・・・ボコッ。ボコ、ボコボコボコ。


「ヴッ。」


アキを吸収したソレが、膨れてピンと出っ張った。



『何よ、アタシは悪くない』『四姫よつひめの言う事は聞くモノよ』『何で耐えなきゃイケナイの』『死にたくない』『アタシを守って死ね』『アタシはね、望まれて国守になったの』『助けなさいよ』『イヤ嫌イヤ!』


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