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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
702/1585

8-186 無駄ムダ


「カー様、おはようございます。」


「おはよう、ブラン。」



霧雲山の統べる地が穏やかなら、それで良い。少し前まで、そう思っていた。いやそう。大王が許しなく、差し向けたのだ。


アレの罪は重い。器から溢れた瞬間、思い知るだろう。炎の中で叫びながら、消滅するのだから。



「申し上げます。」


「おはよう、ネージュ。フェンなら違うよ。」


・・・・・・パチクリ。


「カー様。あの男、いえ。」


「新たな一族はね、許しなく出国すると死ぬんだ。」



日光に当たれば焼け死ぬ。血を吸う事で命を繋ぐ。実は、それだけでは無い。


はじまりの一族から祝福を受ければ、健やかに育つナド大噓。たまわるのは幸福や恵みでは無く、呪いだ。



「国務は全て、アンリエヌ国王の城で行われる。仕事でも観光でも、出国手続きは必須。旅券の有効期限は一月ひとつき。」


「では、加護が及ぶのも。」


「そう、一月。」



王族なら知っている。旅券は身分・国籍を証明するダケでは無く、加護が付加されていると。なのにエド大王は、フェンを出国させた。


おのに才が無い事を忘れ、思い違いをしたのだ。王城で発行された旅券であれば、有効であると。大王と化け王は同等であると。



「新たな一族が『新たな疫病』だの『伝染病』だのと、大王城内にて騒いで居ります。」


「捨て置け。アレが苦しみながら死んだのは、当たり前の事。そのうち気付く。」



アンリエヌへの入国審査は世界一、厳しい。検疫所を通らなければ即、死刑。裁判を受ける事なく収監され、三日以内に。


因みに不法滞在者は即、強制送還。前科者が入国を試みれば、問答無用で死刑。国際問題にならないのは処罰・処刑対象を、周知徹底しているから。



「この国に、原因不明の病など存在しない。死病でも疫病でも、罹患者は入国させない。いや出来ない。」


「はい。」






「なぜ、あのような。」


「いきなり破裂するなど、先例が無い。」


「血も骨も残らぬとは。」


「アンナに伝えよ。一刻も早く、エンを連れ戻せと。」


・・・・・・。



アンナにもマリィにも連絡が付かない事。二人が妖怪に食われた事も、四人はスッカリ忘れていた。


使いを出そうにも、どこに居るのか分からない。フェンの弟が外務卿に就くだろうが、同じコト。






「アンナざま。ごぶじ、でずが。」


血を吐きながら、マリィ。


「なんどが、ね。」


目と耳から血を流し、アンナ。



油断した。大祓おおはらえなんて、大した事では無い。そう思っていた。とんでもない! 何だ、この力は。たっぷり蓄えた闇が、潮が引くようにサァっと。


まぁ良い。生き残ったのだから、また始めよう。生きてさえすれば、何とかなる。


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