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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
701/1585

8-185 清めのプリズム


このたび大祓おおはらえずは使わしめが囲い、組み上げる。それから神の御力で。問題は獲物の中に、バケモノがいる事。


新たな一族、アンナもマリィも肉体を失っている。妖怪に食われるも、その体を乗っ取ることで存在し、力を蓄えた。






「皆さま、よろしくお願いします。」


耶万神やまのかみの使わしめ、マノ。


「よろしくお願いします。」


殺神あやかみの使わしめ、海布みめ


「よろしくお願いします。」


万十神まとのかみの使わしめ、いつ



おにの蛇たち、耶万社やまのやしろにニョロっと集合。


調査の結果、思ったより広がっていたので、大きく三つの線で囲む。北はマノ、風見かぜみの北西。東は海布、会岐あきの南西。西は斎、実山みのやまの東。


耶万神は大磯川を清め為さると、天に御手をかざされた。光の膜がユラユラ広がり、三つの点を結ぶ。




「さて。」


「では。」


「いざ。」



マノ、海布、斎が作り出した光の壁が、ピィン、ピィンと組み上がる。それから直ぐ、天井てんじょうと底が出来た。



「グエェェェェェ。」



うねを目指して進んでいた妖怪たちが、苦しみ悶える。逃げようにも阻まれ、身動きが取れない。光の壁はドンドン迫り、チョンとでも触れれば、激しい痛みが走る。



「ヴォォォォォォ。」



見惚みとれるホド美しい光の壁に、ジワジワと追い詰められる。妖怪は諦めが悪い。断末魔の叫びを聞きながら、おのだけでも助かろうともがく。



「ギィィィィィィィ。」



諦めの悪い妖怪が、光の壁をドンドン叩く。焼けただれ、ベロンとめくれた皮がベチャッ、ベチャッと落ちた。






「何が起きているの。」



采でくつろいでいたアンナとマリィの目の前で、ゴロゴロしていた妖怪が煙になる。問い詰めたくても、問い詰められない。


次は私? このままココで? そんなの認めない!



「ギャァァァァァァ。」



凄い勢いで力が吸い取られる。命まで取られる事は無い、と思う。けれど痛い、苦しい。


まだ死ねない。エンを捕らえて、連れ帰らなければ。



「アァァァァァァ。」



体のアチコチを、鋭い串で刺されるような。見えない何かに、締め上げられるような。痛い苦しい助けて。


このままではイケナイ。けれど、どうすれば。






祓い清められた闇が輝きながら、光の柱に吸い込まれてゆく。ユラユラ揺れながら舞うように。柱は少しづつ細くなり、スゥっと消えた。


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