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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
釜戸社編
70/1622

4-24 形見

早稲の罪人たちが、ひとやに戻された。


「さて、獣谷の仕置場にて、仕置を執り行う。その務めにつきたい者。居れば、申し出よ。出来る限り、その願い、叶える。」


「祝、宜しいでしょうか。」


「申せ。」


「いつ、どのように申し出れば。」


「まず、早稲の罪人らが、隠し持っていた品、ゆかりある者へ返す。ただ、そのままでは、辛かろう。釜戸社にて清めてからと、思うが。」


早稲の村長とジンは、奪った品を、奪った時のまま、残していた。つまり、血がついたまま。


話し合いの末、清めてほしい品だけを、釜戸社で清めることになった。そして、すべての品が、縁の者へ。




「次に。」


そう言うと、ピリッとした。


「仕置を執り行いたい者、ここに。望まぬ者、離れへ。」


離れへ向かったのは、シゲとシンの二人だけ。誰も、何も言わない。


「残る、ということで、良いか。」


「はい。」


ヨシが、力強く言った。


「あの三人。早稲の罪人が死んでも、タツは。ワシの子だけじゃない! 奪われた者は誰も、一人も帰ってきません。わかっています。それでも、この手で! そう思います。」


そう、戻ってこない。誰も。


「エイさま。何か、気に病むことが。」


「いや、そうでは、ない。」


エイは考えていた。早稲へ三鶴と玉置が向かう。その前に、虐げられていた人たちが、逃げられるだろうかと。


辛い思いをしてきた人たち。幸せに暮らしてほしい。そのために、祝として出来ること。それは信じること。そう、信じよう。うん、信じよう!





「獣山の子ら、日吉山へ・・・・・・。」


獣山で保護された子ら、すべて。早稲の罪人たちの裁きが終わるまで、狩り人の村に預けられている。日吉社へ託すことが決まってすぐ、使いを出した。既に、日吉社より受け入れと、日吉山へ入る許しを得ている。


「エイさま、日吉は強い山です。託しましょう。」


珍しく? シロが、ババンと言い切った。


「社の司よ、考えがあるのか。」


まあ、ヒドイ。ちゃんと考えてます。


「・・・・・・。」


考えてなかったぁぁ!


「エイさま。」


ロク、申し訳なさそう。伯父さん、シッカリして!


「朝になったら、日吉山へ送り届ける。」


「はい。」


いろいろ飲み込んだようですね、シロ。


「使いは。」


「既に。」


さすが、ロク。デキる禰宜は、違います。




「稲田の子、ツウとコウ。乱雲山へ送り届ける。が、少し。」


少し?


「早稲の罪人ら。仕置を執り行い、見届けるまで、待たせる。」


待たせる?


「エイさま、狩り人なら、多く。乱雲山へ行くこと、かないます。」


シロ、前のめり!


「シロさま、そういうことでは。」


ロク、ジトッ。シロ、???


「そう、違う。コウはジロの孫。谷河の狩り人シバは、稲田のジロを知っている、かもしれない。そうなら会って、話すだろう。」


ほら、ね。伯父さん、そんなで見ないで。はぁ。


負けるな、甥っ子!


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