8-182 被害者の会
素戔嗚尊は勢いが強すぎて、アレやコレやと。この度の事を考えれば、『伊弉冉尊に御頼みするのが良い』と。
エッ、申し上げられません。須勢理毘売に丸投げなさったので。
はて、ナゼそのような御顔を?
『禍を被ったの会』なるモノも御座います。その一つが『素戔嗚尊、許すまじ』。御饌津神と馬の神が、高天原で御作り遊ばしたトカ。
はい、中つ国にも。
やまとは島に御座いますので、食べ物の神。狩りの神、織物の神、森の神。山の神、水の神など数多、御坐します。
「その中に、『妻問いもホドホドに』なるモノは。」
ニコッ。
「あ、有るのか。」
ニコニコッ。
知らなかった。そのような集まりが、あったとは。何を議るのだ。考えたダケで・・・・・・。
「西国はもう、終わりだ。」
「次の大祓の儀、もし。」
「その時は・・・・・・。」
杵築大社に集まった使わしめたち。頬の肉がゲッソリ落ちて、顔の色が酷く青ざめて見える。
このままではバタリと倒れ、苦しまずにポックリ死ぬカモ。
ウサちゃん揃って、後ろ足をタシタシ。直ぐに動かなければ、モフモフが牙を剥く!
「大国主神。シャキッと、なさいませ。」
「稻羽。」
「はい。」
「衣から、前足を離しなさい。」
・・・・・・ジトォ。
「逃げぬ。というより、逃げられぬ。」
「それも、そうですね。」
ニコッ。
時が経つほど、過ぎるほど悪くなる。なんとか食い止め、流れを変えねば。そのために何が出来る。怒りや焦りがヒシヒシと、この身に。
感じる。刺すような目、祈るような目、目、目。許されるなら、逃げ出したい。のに、逃げられぬ。
「御静まりください。」
キリリと稻羽。
「大国主神。」
ハッ、そうだ。シッカリせねば。
「皆、聞いてほしい。」
キリッ。
天と地の神が、光の柱を御支えくださる。よって、次のように。先ず、闇に飲まれた鎮の西国。それから、中の西国。続いて、真中の七国。
鎮の西国は島を囲い、統べる神を真中に六千と五百六十一柱。消えて無くなるツモリで、祓い清めよ。
中の西国と真中の七国は、陸続き。よって纏めて、同じ時。グルッと囲み、統べる地を真中に六千と五百六十一柱。
出し惜しみせず、透けても怯まず、祓い清めるのだ。
「社に戻り、伝えよ。『少しでも恐れをなせば、闇に取り込まれる。心せよ』と。」
「ハッ。」
全ての神が代替わり出来るワケでは無い。御隠れ遊ばせば、ずっと。そのような神も御坐す。
悪しき妖怪により、多くの命が奪われた。里や村、国まで滅んだ。人が消えれば、朽ち果てる。何もかも。