8-181 妻問いもホドホドに
オカシイ。新しい妻を迎えれば、全て丸く収まるのに。なぜ、そんなに嫌がる。・・・・・・ハァ。にしても稻羽、遅いな。
案ずる事は無い。私には素戔嗚尊より譲り受けた、奪い取った? 素晴らしい生大刀と、生弓矢が有る!
「大国主神。」
「ヒャイ。」
背筋、ピィン。
「この度の事、どのように。」
「それは新たっ。」
・・・・・・ゴクリ。
「新たな?」
メラメラメラァァ。
「須勢理毘売。この布で、新たな衣を。」
「まぁ。」
ポッ。
大国主神が集められるのは、八十柱。ハイその通り、兄弟神です。
八上比売は須勢理毘売に託すことで、我が子を守ろうと為さった神です。きっと因幡から、御出になりません。
木俣神は、どうでしょうね。難しいのでは?
沼名河比売は、大国主神と神語りが出来るホド優れ、賢く淑やかな神。『もう一柱』となれば、御力を揮われるでしょう。
他の神神は・・・・・・。
「ただいま戻りました。」
木俣社でユックリ過ごし、モッフモフ。
「稻羽! 良く戻った。」
「大国主神。木俣神より言伝を、御預かりしました。」
「ウム、申せ。」
ワクワク。
「『妻問いもホドホドに』との事。」
キリッ。
「・・・・・・。他には?」
「御座いません。」
キリッ。
「・・・・・・疲れたろう。ゆっくり、お休み。」
「ありがとうございます。」
ピョコンと頭を下げ、下がる稻羽の背を見つめ、溜息を吐かれたトカなんとか。
『ホドホドに』って、えっ? そんなに分かり易かったか。大祓、しなきゃイケナイよね。逃げられないよね。
こうなれば妻問い・・・・・・を。
ハァ。鎮の西国に中の西国、真中の七国まで。
先ず、鎮の西国。それから中の西国、真中の七国と進めよう。そのために・・・・・・なんて、イエナイヨォ。
困った、隠の世は頼れない。となれば、はじまりの隠神にも頼れない。素戔嗚尊に御頼みしたのだ。大宜津比売率いる、御饌津神にも頼れない。
倉稲魂神、豊宇気毘売神などナド。
アレッ。稲とか飯とか田とか、実が付く神にも頼れない。狐、馬、織女に関わる神にも。えっ、エッ? どうするの。
「大国主神。えっエッって、何ですか。気になって休めません。」
「稻羽。おおっ、大事だ。」
・・・・・・?
「御饌津神、狐。馬、織物の神にも頼れない。」
「はい。」
今さら何を? という顔をして、パチクリ。
「まさか、稻羽。」
「はい?」
全くワカリマセン、何ですか。