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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
695/1583

8-179 気になる、知りたい、確かめたい


安や光江、悦など。いくさやぶれて滅ぼされ、耶万やまに組み込まれた国は多い。その生き残りが皆、悪いワケでは無い。


騙したりそそのかしたり、奪ったりする悪いのは全て、うねに放り込まれて死んだ。生きているのは二人。



大野のガガは片付くまで、浅木に留め置かれる。


アコが耶万に戻り、社の司になるのが先か。悪いのに罹って死ぬのが先か。何れにせよ、それまでは垂れ流し。



光江のマツは、隠れ家に居る。


残りを放り込み、舟を出そうとして襲われた。光江の生き残りと妖怪に。命からがら逃げ帰り、ガタガタ。黒かった髪が、一夜ひとよで真っ白に。




救い出された人の中に、腰麻こしまの子が居た。


腹が出ているのに骨が浮き出た、ギョロギョロした男の子。頬がけ、ヒョロヒョロした女の子。母と死に別れ、死んだ魚のような目をした幼子おさなご


他も、似たようなもの。



知らせを受けた妖怪の祝、ユキには救える、癒せる。心の臓が動いている限り。失った光の力には及ばないが、新たな力を授かったから。


急ぎ駆け付け、力をふるう。



一人でも多く助けたい、一つでも多くの命を。そのために私は死んで、妖怪に生まれ変わったんだ!






「戻って直ぐに悪いが、少し話せるか。」


大石神おおいしのかみの使わしめ、バウ。


「はい。ムゥ、戻るまで待てるな。」


クベに撫でられ、ニコリ。


「はい。いってらっしゃい。」



妖怪の祝ユキから、腰麻社こしまのやしろを通して知らされた。光江の水門頭みとがしらマツが一人でアチコチ出向き、アレコレしていると。



少し前、大石にも。


獣が畑を荒らすので、ムゥを連れて森に入ったクベ。狩り人の兄弟に見えたらしい。ムゥが攫われかけた。


その時、クベの闇の力が目覚める。頭から角が二本。糸切り歯が伸び、鋭い牙に。顔には赤い筋が入り、怒りがメラメラと燃え上がった。



締め上げると『攫いに来た』だの『死にたくない』だの。クベの姿が変わった事でユキを思い出したのか。叫んでチビって、転がるように逃げた。



姿が変わっている事に気付いたクベは、ムゥを連れて出たのを思い出し、闇を引っ込めた。大の男が逃げたのだ。子なら、どうなる。


恐る恐る闇の包みを開くと、ムゥがスヤスヤ眠っていた。






「・・・・・・ハァ。あの時、片付けとけば。」


「言うなクベ。逃がして良かったのだ、アレは。」


「バウさま、なぜですか。」



大蛇神おろちのかみの使い狐、嫌呂きろろ悪鬼おきは決めた。いつでも殺せるのだから、置いておこうと。


春になれば良那らなから、継ぐ子アコが戻る。耶万の社の司として、戻ってくるのだ。初めての裁きに持って来い!



アコの母は、蛇谷の祝。攫って大王おおきみに差し出したのは、水手かこだったスイ。まだあかしは挙がらないが、叩けば埃が出るに違い無い。


水門頭だ、水手と組んだハズ。



「では、春まで生かすと。」


「そうだ。マツが近づいたら姿を変え、脅かせ。」


「解りました。」



今のところ出るのはシシのみ。熊が出たら、ムゥが喜んで狩るだろう。森を調べたが、おかしい事は何も。なのに出た。


獣は秋にタップリ蓄え、冬は籠るハズなのに。



采に集まった妖怪が、獣を騒がせているのか。海を越えて来たバケモノが、何かを企んでいるのか。気になる知りたい、確かめたい。でも、どうすれば。


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