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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
693/1584

8-177 どうだった?


食べ物を届けに行ったヌエが、加津から戻って来た。見張りから知らせを受け、カツが向かう。暫くすると舟が。


みよしで嬉しそうに尾を振るカナが一吠ひとほえ。舟寄せに着くなり、トタッと降りた。



「おかえり、カナ。」


「ワン。」 タダイマ。



ワシャワシャと撫でながらニッコリ。『カツって犬、好きだっけ?』なんてコトを考えながら、ゆっくりユックリ、舟を降りた。



「おかえり、ヌエ。」


「ただいま、カツ。」



キョロキョロ。あれ、居ない。どうしよう。『ウチの弟、知らない?』なんて聞けないよ。でも気になる。


舟をヒョイと引っ繰り返し、舟置き場へ運ぶカツに駆け寄り、モジモジ。



「どうだった?」


「えっ。」


「ナミの事、何か聞けたか。」



加津の港に着いたのは日暮れ前。荷を下ろし、割符わりふを受け取ったら日が暮れた。港にはヌエの他に浅木のカト。実山みのやまの狩頭、マヤも居た。



それぞれ伝えたい事があったので、加津のおさも加わって、話し合った。


釜戸の裁きに浅木の裁き、風見かぜみから聞いた話、谷西たにしで起きた事。森で見つけたむくろや、ナミから聞いた話などナド。



驚いた。春から増え始めた人攫いは皆、耶万やまに滅ぼされた国の生き残り。しかもうね、大野、安、光江、悦のが集め、売り払っていたのだ。


真中まなか七国ななくにや、しづめ西国にしくにに。



耶万にやぶれた全ての国が、消えて無くなったワケではナイ。滅ぼされても、耶万に組み込まれて残されている。会岐あき千砂ちさのように。


消えて無くなった国は、大きく分けて二つ。蛇谷のように朽ち果てるか、今井のように用いられるか。



隠れ家は安井や松田など、誰も住まなくなった地。久本や今井など、耶万に取り込まれた地の外れ。戦好きで知られる村や、国の近くナドなど。



「使い狐が嗅ぎ回り、イロイロ明らかに。で、社を通して広く知られるようになった。らしい。」


「そうか。」


「驚かないのか。」


早稲わさにも居るだろう。シギだって、社の司だぜ。」


「アッ、忘れてた。」



早稲神わさのかみも使わしめさねも、社に御籠おこもりだ。だからシギが出来る限り、アレコレしている。



国守になった妖怪の話。人と妖怪の合いの子が、どんなか。その扱いや育て方など、知らなければ困る事が知らされた。



人には、どうにもならない。そんな事でも社を通せば、助けられたり救われたりで、何とかなった。


おにとか妖怪とか、祝の力が無ければ見えない。けど居ないとか嘘だとか、偽っているとか言わない。言えない。



「にしても、安井とはねぇ。」


カツが嫌そうに、ポツリ。


「知ってるのか?」


「ずっと前、放り込まれたよ。前の長に。」


・・・・・・。



「ただいま。」


「おかえり、ヒト。で、どうだった?」


「片付いたって。」


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