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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
691/1636

8-175 あわよくば


ミカとクベの力は、フタやモトより強い。というより桁違い。


妖怪が持つ力は様様さまざまだが、国守が授かった闇の力は攻撃より、防御に適している。



フタは会岐あきの、モトは千砂ちさの元、祝人はふりと


フタには守りの、モトには清めの力が有った。祝の力は失ったが妖怪になった時、闇の力を得る。どちらも、守りながら戦う事は出来ない。



ミカとクベは違う。


守りに強いってダケで、ガンガン戦えるのだ。二妖とも元、奴婢ぬひ。憎しみを抱き、妖怪になったのは同じだが、闇の濃さ、深さが違う。



クベは闇を布のように広げ、自在に操る。強度があるので重い物や、多くの人を運ぶ事が出来る。


ミカは国一つ覆い尽くして隈なく調べたり、帯状に変化させ操ったり、縛ったまま遠方へ移動させる事が出来るのだ。




四妖とも神に仕えている。使わしめでは無く、国守として。人を守るために力を尽くす妖怪が、眠っていた闇の力を引き出した。



・・・・・・神様、事件です! 加津神かづのかみの使わしめロロ、大石神おおいしのかみの使わしめバウ。揃って真っ青。



ロロは千砂社ちさのやしろへ飛び、バウは会岐社あきのやしろへ駆ける。


会岐神あきのかみの使わしめクゥ、バウの話を聞いて遠吠え。ワンコ揃って大騒ぎ。


千砂神ちさのかみの使わしめ蜜、ロロの話を聞いて針を出す。刺されると思ったロロ、絶叫。



パニクる使わしめをなだめ、神神かみがみは御考え遊ばす。ミカの力について、一山いちのやま御坐おわす鳶神に御知らせせねばと。


その前に、加津神かづのかみの御考えを。






「そうですか。闇が動きましたか。」


ノホホンと、加津神。



使い蜂と使い犬たちが見合い、パチクリ。パチパチ、パチリ。話し合いの末、会岐のワンコに決まった。



「加津神、よろしいでしょうか。」


「何でしょう。」


ニッコリ。


「一山へは、どのように。」



大貝山の統べる地を御治めくださる隠神は、一山に御坐す鳶神。


隠のときは閉ざされているので、御伺い出来ない。となると一つ。耶万やまに詰めている、大蛇神おろちのかみの使い狐を頼る他ない。



耶万社やまのやしろの下には、タヤと念珠ねずの隠れ家が。


はらい清められ、大貝神おおかいのかみの使わしめ、土の使い蜘蛛が詰めてマス。気を付けないと、聞かれちゃうヨ。



「ロロを遣わせ、御知らせします。」


サラリとおっしゃいました。



耶万から溢れた闇の事で、大貝神は大忙し。アッチコッチでイロイロ起きて、テンテコ舞い。丸投げしたくても出来ません。



「大貝神へは。」


もし、ミカの力を御知り遊ばせば。・・・・・・丸投げ、しちゃうカモ。


「フム。」


難しい事でも、ミカの力をもってすれば。と?



大祓おおはらえにより生まれた、新しい妖怪は少ない。というより珍しい。実は、御考えなのです。『あわよくば』と。



「ミカは妖怪。隠の世では無く、人の世に居るだけ。よって、鳶神に御伝えすれば良かろう。」


ニッコリ。


「はい。」



隠す? 違います。たずねられるマデ、伝えないダケ。


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