表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
687/1584

8-171 謂れ無き偏見


谷西たにしおにたちに見送られ、ミカは安井を目指す。ロロは一足先に、加津へ戻った。


会岐あき千砂ちさの国守は元、祝人はふりと。大石の国守は子。加津の国守は、生きる力が強い。けれど皆、狩りは出来ても戦えない。


一妖では難しいだろう。



加津神かづのかみに見聞きした事を御伝えし、大石社おおいしのやしろへ。クベに話して、安井へ行くよう頼んだ。






「イヤな感じだな。」


囲むなら消せよ。刺さってるぜ、イロイロ。


「オイ、兄チャン。何しに来た。」


ワラワラと群がる、ゴロツキども。


「ヒュゥ、こりゃイイ。身なりは男だが、女だ。それも今じゃ珍しい、加津だぜ。」



色白、整った顔。みずらになんかスルから、首筋が丸見え。そそるねぇ、グフフ。楽しめそうだ。



「・・・・・・え。」


マジか。


「イイコトしようぜ。」


触るな、気持ち悪い。



サワサワ。ん、ケツが硬い。あれぇ? アレあれアレ? ハジメテかな、コワイのかな?



「怖くナイよ。お兄さんたち、美しい女にしかタタナイの。」


「そうそう。イロイロ仕入れたんだけど、酷くてさぁ。」


「だから、溜まってんの。」


「スッキリさせてネ。」


ふざけるな!


「じゃっ、行こうか。」


ブチッ。



攫われた人は穢されて無い。それは良かった間に合った。ヨシ、消そう。コイツら生かしておけば、必ず同じ罪を繰り返す。


突き出すのはめだ!


怒りがメラメラと燃え上がり、闇の力が目覚めた。牙と角が二本づつ生え、顔には赤い筋。赤黒い炎を纏い、闇を従えている。



「ばばっ、バケモノぉ。」


「テメェらホド、酷かネェよ。」



思い出したのだ。忘れたくても忘れられない、アレやコレやを全て。女をもてあそぶ男など、生かす気は無い。女の敵はオレの敵。殺す、なぶり殺す。



「んなコトねぇ。オレは、オレたちは人だ。」


「人なら子を殺さない。女を穢さない嬲らない傷つけない。酷く扱ったり罵ったりしない。だからテメェら、人じゃ無い。バケモンさ。」



外に出ていたゲスを切る気で、ギリギリ縛り上げた。と直ぐ家を持ち上げ、ポイッ。隠れていたゲスを捕らえ、締め上げる。


安井神やすいのかみは御隠れ遊ばし、使わしめも居ない。よって開きっ放し。闇で包んでも障り無い。ゲスは悟る。殺される、助からないと。



「子ってのは、慈しんで育てるモンだ。女ってのは、宝のように扱うモンだ。人でも犬でも何でも、皆そうさ。」



細長い闇がキリキリと、ゲスの体に食い込んだ。目を白黒させながら、口をパクパク。



「人の事を見掛けで決めるな。」


「美しく生まれたヤツに何が分かる! 見た目が醜いとな、心も醜くなるんだよ!」


「フン。言い訳のツモリか、それ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ