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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
678/1585

8-162 背に腹は替えられぬ


「ギェッ。」 クルナァ。


「ヂェッ。」 イヤダ。


「ヴャッ。」 コナイデ。



アンナとマリィの魂は融合し、一つの体に宿っている。正確には、妖怪の体を乗っ取った。


神により守られた地に押し入り、消滅寸前まで力を失う。それでも存在しているのは、運が良かったダケ。


アンナもマリィも気付いていない。罠に掛かった事に。






光江で生まれた妖怪の子を、ペロリと平らげ一休み。


比較的キレイな家で丸二日、グッスリ眠った。その間に見た。妖怪の子の記憶、食われた人の記憶、おにの記憶を。



コールタールのように黒く、ネバネバした闇が纏わりつく。気持ちが悪くて仕方がない。胃がムカムカする。動けるようになったら直ぐ、次の国へ。



生き残りは皆、オドオド。あんなの食らっても、腹の足しにナラナイ。


妖怪を探したが、全く見つからなかった。港に倉、車も有った。これだけの国だ、多くの人が暮らしていたハズ。なのに、なぜ。



妖怪の子は大食おおぐらいで、人の血肉を好む。初めて食らったのが、おのを産んだ母。


酷い話だ。食らっても食らっても満たされず、人が減った。



起きたら悦へ行こう。光江のが逃げ込み、ウジャウジャ居る。妖怪の子が食らい尽くす前に、残らず奪う。






「ギェッ。」 クルナァ。


「ヂェッ。」 イヤダ。


「ヴャッ。」 コナイデ。



悦で生まれた妖怪の子を、ペロリと平らげ一休み。


何を言っているのかサッパリ分からないが、叫び声は同じ。助けを求めるか、命乞いをするか。どうでも良いか。



相変わらず、後味が悪い。ムカムカする。口直しに人を食ったが、味気ない。あの目は何だ。ガタガタ震えて漏らすなど、有り得ない。一匹でめた。



少し離れるが、次は大野。近くにある腰麻こしまには、見えない壁がある。アレを破るのは疲れるし、せっかく蓄えた力を失いたくナイ。


雪が積もる前に全て回ろう。今、分かっているのは大野を入れて三つ。人と妖怪の合いの子には、ソコソコ強い力がある。残らず吸収し、備えなければ。






「ギェッ。」 クルナァ。


「ヂェッ。」 イヤダ。


「ヴャッ。」 コナイデ。



大野で生まれた妖怪の子を、ペロリと平らげ一休み。相変わらず、何を言っているのか分からない。


それより、どう考えてもオカシイ。人が少な過ぎる。なぜだ。妖怪の子が食らった? にしても少ない。ハァ。次に期待しよう。






「ギェッ。」 クルナァ。


「ヂェッ。」 イヤダ。


「ヴャッ。」 コナイデ。



安で生まれた妖怪の子を、ペロリと平らげ一休み。ココもだ。人が少な過ぎる。目の前で漏らされ、食欲を無くした。






「ギェッ。」 クルナァ。


「ヂェッ。」 イヤダ。


「ヴャッ。」 コナイデ。



うねで生まれた妖怪の子を、ペロリと平らげ一休み。ココには居たが不味まずい。背に腹は替えられぬ。よって、臭くても食った。


・・・・・・何なんだ、まったく。


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