表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
675/1589

8-159 似たもの同士


「アコ、どうした。」


良那らなの国守、オトが問う。


「神が張り巡らし給うた膜が、破られました。」


「ん?」


大貝神おおかいのかみの統べる地に、おにとも妖怪とも違うバケモノが。闇を纏ったバケモノが入り込みました。」



耶万社やまのやしろの継ぐ子、アコは生まれ持った。恐ろしく強い、闇の力を。オレにも有るから判る。アコの力は、隠や妖怪よりも強い。



ここは良那、津久間の統べる地に在る。隣は大貝山の統べる地。


アコの母が生まれ育ったのは、しいの川沿いに在った小さな国。蛇谷の祝には闇を操り、防ぎ守る力が有ったと聞く。



「アコ。そのバケモノは、どこから入った。」


「光江です。」



海沿い、川沿いに狙いを定め、試みていました。力を失いながら西から東へ。殺社あやのやしろの統べる地で干乾ひからび、更に東へ。


神が御隠れ遊ばした地は、アチコチに御座います。この感じは耶万やまの南。となると、光江か悦。海沿いなら光江です。


耶万が滅ぼしたのは、大きさはイロイロですがいづれも国。光江は耶万と結び、助け合っていました。なのに真中まなか七国ななくにと組み、裏切ったのです。



「そう、だったのか。」


「はい、蛇から教わりました。」



アコは人だが蛇と話せる。隠や妖怪、生きている蛇とも、心で。国は滅んだが、蛇との繋がりは今も。そう言って笑った。



「蛇たちは、耶万を嫌わないのか。」


「嫌っています。けれど私を守るため、力添えを。」


「それは心強いな。」


「はい。」



蛇たちは言います。『裏切りダケは、許さない』と。


蛇谷が滅んだ今、私が暮らすのは耶万です。その耶万にわざわいもたらした光江を、心の底から嫌っています。



闇や伝わる思いから、『バケモノが入り込んだのは光江だ』とも。


人と妖怪の合いの子がポンポン生まれ、多くの人が命を落としました。つまり闇に囚われた隠が、ウヨウヨしています。



「フゥ。となると、そのバケモノは力を付けて。」


「次に狙うのは悦。光江と悦で取り込んだ妖怪の子から、同じような子が安、大野、うねに居ると。」


「どれも悪い話しか聞かない、腐った国だ。」


「人しか食らわない妖怪の子に減らされ、あまり残って居ないと思います。」


「それだけ隠が。」


「はい。」






「アコよ、その話。いや、すまない。まことだな。」


良那の社の司が、頭を抱えた。


「はい、ウカさま。」



光江、悦、安、大野、采。何を思ったか、良那に仕掛けた国ばかり。耶万に滅ぼされたと聞いて、良かったと思ってしまった。


確か国守、オトの村を襲ったのは、悦と光江だったな。



妻と子を守るために戦うも敗れ、娘の叫び声を聞きながら。それで闇の力を。


妖怪となり、敵を串刺しにした。一度ひとたび、抱いた憎しみは消えない。アコに寄り添い、扱いを教えるのは、きっと。



闇の力は強い。飲まれぬよう、しっかり導かねば。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ