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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
667/1583

8-151 苦しめ、償え、思い知れ


「オイ早稲わさ、オレを助けろ。」


「はぁ?」


カツで無くてもあきれる。



大野のガガは多くの人を傷つけ、もてあそんだ罪によりチョン切られた。


縛られ押さえつけられて、シュパシュパシュパッ。キュッと栓をして、両の手足をキツク結ぶ。動くと、刺すような痛みが。



竹で組んだ台は軽くて、とても強い。尻の下には穴が開けられ、ヒンヤリ。股も涼しい。


布を噛まされているので、言いたい事も言えない。三つ夜を明かし、栓を抜く。尿しとが出れば生きられる、出なければ死ぬ。



尿が出たので、かゆを食べさせてもらえた。御察しの通り、垂れ流し。


六月むつきもすれば動けるようになるが、待たない。冬が来る前に浅木に引き渡す。チョロっとブリっと出たので、台ごと舟に乗せられた。



「女。好きだろ、女。」


コイツ、何を。


「胸か、尻か。」


・・・・・・。


「はじめは硬くても、揉んでるウチに。ククッ。」


「黙れ、食え。」



ななめに割った瓢箪ひょうたんを、ググッとガガの口に差し込んだ。毒消し入りの粥を詰まらせないよう、少しづつ流し込むために。


冷えた粥は飲みにくい。だから毒消しを注ぎ込み、伸ばすのだ。熱で死なれては困る。浅木でも、罰を受けさせなければ。






「くっせぇな。」


風上に居ればマシだが、風下では・・・・・・。


「オレだって、好きで垂れ流してんじゃねぇ。」


ブリッ、ブリブリ。ビチャッ。


「ハァァ。」


カツじゃなくても気が滅入めいる。



ガガの粥には、いろんな葉物が入っている。つまり、食物繊維タップリ。お通じ対策、バッチリよ。



「オレだって、オレだって恥ずかしいんだ。」


いろいろ、丸出しだモンね。


「辛いんだ痛いんだ、逃げたいんだ助けろ。」


「テメェが攫った子や娘たちは、もっと辛くて酷い扱いを受けた。」


「知るか!」


「ア゛?」


ビクッ、チョロチョロチョロォォ。


「漏らしてんじゃねぇ。」



ガガは、やっと気付く。カツは違うと。早稲だが早稲では無い、早稲に逃げ込んできた他所よその人。その生き残りだと。



「逃げたくても逃げられず、助けも呼べずに死ぬモンの気持ちが、テメェに分かるか。」


「あぁ、わ」


「ざけんな!」



食いモンも水も貰えず、飢えて渇いて苦しんで。みんな日に日に弱ってゆく。見てるしか無いんだ、助けたくても助けられない。


オレだってイロイロやらかした。けど殺してない、逃がした。早稲のとは違う。


小さい墓なんて、もう作りたくない。あんな目、誰にもさせたくない。だから奪った戦った。



「『わかる』なんて言わせない。苦しめ、償え、思い知れ!」


タツと違い、カツは弟妹を看取っている。だから子の命を軽く扱ったガガに、強い敵意を抱いた。


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