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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
663/1584

8-147 一目で


「たっ、タイヘンです。」


「どうした土、そんなに慌てて。」



大貝山の統べる地で、人と妖怪の合いの子が生まれている。



多くは生まれる前に死ぬか、はらを食い破って出て直ぐ、殺されるか。たとえ這い出ても、大きな頭を支えられない。小さな体では生きられない。


神の御坐おわす地では国守など、戦える人が社の者と力を合わせ、事に当たっている。



会岐あき、大石、加津、千砂ちさで生まれた六妖のうち、二妖は死んだ。母を食らい、殺された。残る四妖は生まれて直ぐ、母から引き離せた。


人を襲ったり食らわぬよう、国守がシッカリ育てている。会岐のフタも千砂のモトも、元は祝人はふりと。二妖とも、闇の力を持っている。望まれて国守になった。




加津のミカと大石のクベは、耶万やまのタヤに会っている。


今のトコロ闇の力は無いようだが、タヤの事だ。心の底から願った時に出るよう、隠しているのだろう。


なんとなく感じるのだ。耶万から溢れた闇とは違う、優しい闇を。




ミカは加津を、クベは大石を守ると決め、国守になった。その思いはシッカリ届き、とても慕われている。闇に溺れたり飲まれる事は、きっと無い。


目も当てられないのは、神が御隠れ遊ばした地。アチコチで暴れ、多くの命を奪った合いの子たち。






「土よ。三柱、集うと思うか。」


「届け出の無い子を、清めると。」


大祓おおはらえしか・・・・・・なかろう。」



人と妖怪の合いの子を集め、祓うなら、使わしめでもよろしいかと。大貝山に集めましょう。


闇に強い隠の、そうですね。耶万社やまのやしろのマノさま、殺社あやのやしろ海布みめさまに、お頼みしましょう。


私も加わり、囲い祓います。御清めくださいませ。



「通してあるのか。」


「はい。」



使わしめの集まりで話し合い、決めた。人と妖怪の合いの子を祓うため、力を合わそうと。




どうすれば人を守れる、良い妖怪になるか。どう扱えば満たされるのか。母を食らわず引き離すには、どうすれば良いのか。


他にもイロイロ話し合い、分かってきた。



胎の中に入っている時から、怖がらず話しかける。生まれたら直ぐ掴んで、母から引き離す。頭を掴んで、死にかけの獣を入れた大穴に、迷わず投げ込む。


死んだ獣には見向きもしない。だから必ず弱っているか、死にかけの獣を。穴は妖怪でなければ出られないほど、深く深く掘る。大きさは、大熊が入るくらい。



ゴキュゴキュ聞こえたら覗き込み、クルクル巻いて一呑みするまで見つめる。


腹をポンポンして眠れば、それで良い。足りないようなら急いで狩って、獣を放り込む。



満たされるまで食べて、グッスリ眠る。それを三度みたびで、三つくらいに育つ。人を襲ったり食べようとせず、話が出来る子に。






「危ない妖怪の子は、一目で判ります。何もかもが、ミイたちと違いますので。」


「ミイ?」




会岐のミイは、チョッピリ食いしん坊。千砂のヨヨは明るく、勢いが良い。加津のイイは驚くほど賢く、シッカリしている。大石のムゥは生まれたばかりだが、聞き分けが良い。


四妖とも、とっても良い子です。


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