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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
655/1592

8-139 助かったのですね


ミイの次に生まれたのが、千砂ちさのヨヨ。


頭が出て直ぐ、モトに引っ張り出された。そのまま産屋うぶやを飛び出し、走る。


千砂の人は驚いた。頭を掴まれた嬰児みどりごが、泣きながらブラブラ揺れているのだ。当たり前である。



ヨヨは死にかけの大猪を入れた大穴に、勢い良く投げ込まれた。


ピタっと泣きみ、サササ。首筋にカプッと食らい付き、ゴキュゴキュ。ピラピラをクルクル巻いて一呑み。


立ち上がって穴の端まで歩き、腰を落として幸せそうに、腹をポンポン。暫くしてスヤァ。




丸一日後に目覚め、『ヴォォ』と吠えたける。


直ぐに、死にかけの大鹿が投げ込まれた。で、同じようにゴキュゴキュ。クルクル巻いて一呑みし、トタトタすとん。幸せそうに腹をポンポン。ウトウト、スヤァ。



丸一日後に目覚め、『ヴォォ』。


死にかけの小熊を投げ込まれ、ゴキュゴキュ。クルクルごっくん、トタトタすとん。腹をポンポン。ウツラウツラして、スヤァ。



丸一日後に目覚め、見上げて言った。『出して』と。




満たされたままグッスリ眠り、目を覚まして直ぐ満たされれば、人の子と変わらないと判った。驚くほど食べるが、賢くて良い子である。



因みにヨヨは猪肉、鹿肉、子熊の肉が大好きな男の子。






「イイは。」


「まだ寝てる。」



ヨヨの次に生まれたのが、加津のイイ。


妖怪の子の扱いが判ってから、はじめて生まれた子。そろそろ起きるハズ。哮ったら投げ込めるよう、穴の側に大猪を転がして有る。



・・・・・・ニコッ。


「ソレェ。」



ミカとモトが、死にかけの大猪を大穴へ。


ドスンと音がして直ぐ、ゴキュゴキュ聞こえた。見下ろすと猪の首筋に食らい付く、イイの姿が。



飲み干すとクルクル丸め、ごっくん。トタトタ歩いて、ストン。幸せそうに腹をポンポン。アクビしてから、スヤァ。




「静かだな。」


ミカが呟く。


「鳴く前に、満たされるまで食ったから。かな?」


そう言って、モトが笑った。



妖怪の子の哮りは大熊のよう。妖怪でも驚くのだ、人には聞かせられない。



六人のうち二人、死なせてしまった。一人は、あと少しで生まれそう。


三人は酷く弱っているが、まだ生きている。ゆっくり休んで、健やかになってほしい。



会岐あき、大石、加津、千砂の他でも、同じ事が起きている。社を通して聞く限り、良くない。



ミイとヨヨの話は、残さず伝えた。同じようにすれば、きっと助かる。そう信じて。


生きてくれ。


せっかく助かったんだ。幸せに暮らして、笑っておくれ。



死んでしまった人も、心の底から願ってるよ。きっと。なぁ、ミミ。






・・・・・・ニコッ。


「ソレェ。」



わぁい、お肉。大鹿だ!


ゴキュゴキュ。うぅん、美味おいしい。クルクル、アァン。ゴックン。ふぅ、食べた食べた。


トコトコすとん、ポンポン。幸せだなァ。ムニャムニャ、スヤァ。


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