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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
654/1585

8-138 取扱注意


「・・・・・・寝たか。」


「あぁ。」


モトとミカが見合い、頷く。



人と妖怪の合いの子は、判っているダケで六妖。千砂ちさと大石に二妖づつ、加津と会岐あきに一妖づつ。




初めに生まれたのは、大石のヒイ。


産声うぶごえを聞いた娘が、祈るように言ったのだ。『抱かせて』と。直ぐ引き離せると思った。しかし・・・・・・甘かった。



アッと言う間に乳に吸い付き、ゴキュゴキュ飲み干したのだ。ペラッペラになった母を、頭からクルクル巻き出す。


我に帰った加津の国守くにもり、ミカが叫んだ。『首を押さえろ』と。



大石の国守クベが、両の手で首を。会岐の国守フタが膝で尻、両の手で胴を押さえた。妖怪の子の頭に、ミカが拳を振り下ろす。繰り返し、繰り返し。


石を掴んで産屋うぶやに飛び込んできた、千砂の国守モトが加わる。モトから石を受け取り、二妖で叩き割って殺した。




次に生まれたのが、千砂のフウ。


産声を聞いた娘が『抱かせて』と。ハッキリ断ったのだが、遅かった。アッと言う間に乳に吸い付き、ゴキュゴキュ飲み干したのだ。



ペラッペラになった母から離れたのを、モトがガッと掴む。力を付けた妖怪の子、手強てごわいなんてモンじゃない。腰を掴んだまま、なんとか押しつけた。


直ぐに首をミカ、背をフタが押さえる。クベが大きな石を両の手で掴み、嬰児みどりごの頭に振り下ろした。






その次に生まれたのが、会岐のミイ。


生まれたら直ぐ、何を言われても引き離す。そう言い聞かせたのが良かったのか、引き離す事は出来た。しかし、直ぐに判る。死んだ獣より、母を求めるのだと。



飢えた嬰児が、物凄い勢いで暴れる。


四妖がかりで押さえつけ、フタが叫んだ。『クゥさま! 何が獣を、殺さずに』と。



会岐神あきのかみの使わしめクゥは元、狩り犬のおに。長らく神に御仕えし、逞しくなった。つまり、狩りなどオテノモノ。


ザッと森に入り、カプッとくわえて産屋の前へ。



今にも死にそうな鹿を見せられ、よだれをダラダラ。


目を輝かせながら勢い良く、首筋に食らい付きゴキュゴキュ。飲み干されペラペラになった鹿を、クルクル巻いてから一呑みして『ムゥゥ』。


足りなかったようで・・・・・・。



クゥが急いで、若い猪を狩って戻る。すると、嬉しそうにパァッ。


ガブッと食らい付き、ゴキュゴキュ。ペラペラをクルクルして一呑み。産屋の柱までトコトコ歩き、腰を下ろして幸せそうに、腹をポンポン。




寝ている間に大穴を掘り、移した。


眠ってから丸一日して、目が覚める。パチクリしてからキョロキョロ。暫くしてから、『ムゥゥ』と鳴いた。


急いで、死にかけの大猪を投げ落とす。するとゴキュゴキュ飲み干し、クルクル丸めて丸呑み。端まで歩いて腰を下ろし、幸せそうに腹をポンポン。



眠ってから丸一日して、目が覚める。鳴く前に、死にかけの大鹿を放り込んだ。


直ぐにゴキュゴキュ、クルクルごっくん。暫くしてスヤスヤ。



眠ってから丸一日して、目が覚める。スクッと立ち上がり、見上げて言った。『お腹すいた』と。






満たされるまで食べてグッスリ眠ると、一つ年を取る。三度みたび繰り返すと、落ち着くと判った。


その気は無さそうだが食らう、かもしれない。だから人から離し、社で育てている。




二度ふたたび『ムゥゥ』と鳴いたミイは、食いしん坊な女の子。熊肉も食べるが、鹿と猪の肉が大好き。


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