表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
652/1583

8-136 神様ネットワーク


「アンナさま、また来ました。乗り移りましょう。」


「マリィ、次こそイケるハズ。」


「はい。」



陸路では体が持たない。そう判断して、海路を選んだ。


はじまりの一族ならイザ知らず、次世代には耐えられない。力を吸い取られ、干乾ひからびるのがオチだ。



国つ神により閉ざされた地でも、人や獣は行き来できる。


繰り返し試し、分かってきた。どれくらい食い込めば向こうへ行けるのか。どれくらい植えつければ、力を奪えるのか。






「ねぇこう。アレ、どう思う?」


光が届く辺りで、海神わだつみのかみ


「そろそろ、イケルのでは。」


神を甲羅に御乗せして、使わしめ。



海社わだつみのやしろは、海の底に在る。海藻あまもが生えるような浅い海ではなく、光合成が行われない深海に。


社の中は明るいが、日の光は届かない。だから稀に、御出掛け遊ばすのだ。



深い海も楽しいが、浅い海も楽しい。


キラキラ光る日の光、温もり。キュルンとした魚の目、ユラユラ揺れる海の藻。他にもイロイロ。ドキドキ、ワクワク。気晴らしを兼ねてノンビリと。




海中散歩を堪能していたら、耳障りな呟きが。声の主はアンナとマリィ。聞くに堪えないソレは、知らない言の葉だった。


何を言っているのか解らないが、気持ちの良いモノでは無い。知りたいとは思わないが、気になる。だからスイッと近づき、うかがった。



・・・・・・ナンテコッタイ。



海を越え、しづめ西国にしくにへ。響灘ひびきなだを越え、中の西国に入る。そのまま進み、真中まなか七国ななくにへ。中の東国ひがしくにに入れず、諦めて海に出た。


そこまでして目指すのが、霧雲山。


ナニしに行くの? あの山は強い。近づいたダケで清められ、骨も残らない。



『はじまりの一族』『不死』『エン』『アンリエヌ』と聞いて、やっと解った。不死の力を持つエンという、はじまりの一族を探しに、アンリエヌから来たのだと。


化け王のおみが姿を消した。呼び戻されたのだろう。そんな話をチラっと、使わしめの集まりで聞いた。






殺神あやかみ。」


海布みめ、急ぎ一山いちのやまへ。」


「はい。」



万十まとの祝には、先見さきみの力が有る。その祝が見たのだ。おにとも妖怪とも違うバケモノが、多くの人を食らうのを。



神が御坐おわす地には入れない。だからアチコチ寄って、食らい尽くす。


初めは光江、続いて悦。凄い勢いで進み大野、安、うね。一人残らず、骨も残さず、アッと言う間にペロリ。




力を蓄えてから大磯川を下る。耶万やまに滅ぼされた国を巡り、腰麻こしまに辿り着く。


国守になった四姫よつひめを丸ごと食らい、闇を纏うのだ。闇を纏ったバケモノは、大貝山の統べる地を滅ぼす。


祝が見たのはココまで。外れる事も・・・・・・有るのだが。




祝の心の声を聞いた禰宜ねぎが、風の力を持つ社の司に伝える。使わしめいつを交えて話し合い、決めた。万十神まとのかみと、隠神に御伝えしようと。


殺社あやのやしろに、隠のときから使い隠が飛んできたのは、先見した日の夜だった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ