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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
645/1583

8-129 拷問にかけられて


「寝るな、答えろ。」


ザッバァン!


「ハッ。」



なっ、何だココは。北は甘っちょろいって、ぬるいって。


どこが甘いんだ、温いんだ。コイツら人か? 死なないようにギリギリを狙って、なぶりがやる



何だよ! 弱いのが悪いんだ。攫われるヤツが悪いんだ。オレは悪くない。


子連れの女を狙って、連れ去ったダケ。狩り人の子を狙って、連れ去ったダケ。寝静まるのを待って、押し入ったダケ。



あぁ、そうだよ殺したよ。死なせたよ、奪ったよ。それが何だってんだ。売っ払う前にチョット、イイ思いシタ。ナニするのを子に見せて、学ばせてヤッタ。


どうせ売るんだ、堕とすんだ。わきまえさせるのが優しさってモンだろう。



「攫った子をキツク縛ったまま、狭くてジメジメした小屋に押し込め、ほったらかした。」


「ぞれが、どぉじだぁぁ!」



『どうした』だと? 獣山で見つかった子は、三人とも死にかけた。ボツボツと何が起きたのか、話せるようになったがな。まだ、一人じゃ何も出来ない。



一人は狩り人のせがれ。はじめて狩りをしに、親と森に入った。言い付けを守って離れなかった。


言い付けを破って深追いした、同じ里の子を連れ戻すまで『ココを離れるな』と言われ、ジッと待った。



子を一人残した親もドウカと思うよ。犬は残せよ、危ないだろう。『攫ってくれ』って、言ってるようなモンだ。けどな、だからって攫うな。



攫って口を塞いで、縛って転がして。飲ませず食わさず、弱った子をモノ扱い。かついでアチコチ寄って、そのたびに落としたんだってな。ドスンと。


盗んだ舟に放り込んで、そのまま運んだんだろ?



「だっだら、なんだぁ。」


「なんだ? てめぇ、まだ分かんねぇのか。」


「あ゛?」


「いくら狩り人の子でも、たった九つ。逃げられないように縛ったまま、水も飲ませず。」



人ってのは、水を飲まなきゃ死ぬ。なのにテメェは、一度ひとたびだって飲ませなかった。


攫ってから、獣山に隠すまで二夜ふたよ。二夜だ! 放り込まれてぐ、力を振り絞って縄を解こうとした。



力が入らず、爪で引っ搔いた。泣きながら。


のどが乾いて死にそうなのに、涙は出たんだと。口に噛まされた布が吸い取って、思ったそうだ。コレさえ無ければ、渇きを癒せたのにって。



「いぎでんだろ!」


「あぁ、生きてるよ。」


「だっだぁぁぁぁ。」



大野のガガは粗いむしろに正座させられ、拷問を受けている。膝の上に更に重い石を積まれ、やっと悟る。早稲わさのより恐ろしいと。



カツに潰された一物いちもつが、キュッと縮んだ。


嫌だ、死にたくない。助けて。何でも話します、隠さず話します、残らず話します。だから、お願い。




食い縛りすぎて、歯茎はぐきから血が出る。


後ろ手に縛られ、浮腫むくんだ前腕ぜんわんに縄が食い込む。指先の感覚が失われてから、どれだけ経ったか。しびれさえ感じない。



ズシリと重い両腕が、肩からげそうだ。


重いのは腕だけじゃ無い。頭も重い。少しでも後ろへ動かせば、そのままゴロンと取れそう。だから下を向く。



息が苦しい。死にたくない、生きたい。助けて!


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