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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
634/1584

8-118 生きていたとしても


かしら、見てください。」


「この高さ、この感じ。獣に食われる前に、どこかへ連れ去られたか。」



木に縛り付けられても諦めず、ひたすら暴れたんだろう。幹に縄の跡が残っている。怖かっただろうな。近くの木に、熊の爪痕が残されていた。



タヤがミユさんを見つけて、里に連れ帰ってから二度、強い雨が降った。ってコトは・・・・・・。


いや、違う。襲われる前に救い出されたか、人攫いが戻った。そうだ、そうに違い無い。




「おや、志太しだの。」


「ケンです。司葉しばのワオさん。」



二人の狩頭が見合う。志太も司葉も、他とは結んでいない隠れ里。探られるのを酷く嫌う。



「司葉の娘さん、ミユさん。志太の里に居ますよ。」


「それは、どういう。」



ミユは十二だ、シッカリしている。姉妹で攫われた。ミヤがミユから離れるとは考えにくい。この辺りで? いや、それより。



「ウチの狩り人が森で見つけ、連れ帰りました。ずっと眠っていたのですが、やっと目を覚ましましてね。」



怖い顔するなよ。まぁ、気持ちは分かるケド。


姉妹の他にも攫われたのか? 舟に乗せられた他の二人、知らない人らしいぞ。



「そうでしたか。ミユを助けていただき、ありがとうございます。」



川を下る舟の中から、縛られたまま水に飛び込んだと。水から上がってぐ、森の中に入って休まず、走り続けただと?



確かに、仲の良い姉妹だよ。けど・・・・・・いや違う。ミユならミヤのため、迷わず逃げる。助けに行く。


木に縛られて動けないってコトは、生きたまま獣に食われるってコトだから。




「とても弱っていて、動かせません。歩けるようになるまで、志太で預かります。」


「はい。よろしくお願いします。」



他にも知らない娘が二人、か。ミユが知らないなら司葉の娘ではナイ。川上にある里か、村の娘だろう。


里に戻らないのは、ミユとミヤの二人だけ。里長さとおさに言われて、しっかり確かめたから違い無い。



死んだと思ったが、一人は生きていた。もう一人は、どうだろうな。生きていたとしても、遠くに運ばれ今ごろ・・・・・・。考えたくない、そんな扱いを。




「志太から居なくなったのは、子が一人でしたね。」


「はい。ウチの末っ子が攫われました。」



狩りを教えに森に入って、少し目を離したら一人だけ姿を消した。聞いた時は驚いたよ。けど、オレでも守れない。手慣れてやがる。


近くに居たのに気付かなかった。犬でも気付かないって、何なんだ。こっそり餌を与えて、狩り犬を手懐てなずけた?



「人攫いの中に、獣使いが居るようですね。」


険しい顔をして、ワオがポツリ。


「そうとしか考えられません。」


ケンが言い切った。



あの日、連れ出した狩り犬は合わせて五匹。一匹なら有り得るが、五匹とも利かないナンテ有り得ない。


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