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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
627/1583

8-111 当たりだ


「なぁ、カツ。」


「何だい、ヒト。」



耶万やまに食べ物を分ける。話し合って、そう決めた。気に入らないのは、光江に運ぶ事。


あの光江だ。驚きゃシナイよ、けど何だい。隠れ里の人を攫って、ほらに放り込んで殺しただと? 酷い事しやがる。



耶万の王が代わってから、悪い話しか聞かないんだよ。安、光江、うね、大野、悦。


気持ち悪いのは、今井に近いヤツ。今井は負けても諦めず、仕掛け続けたから皆殺し。生き残りは居ない。けど他所よそに居るんだ、ゆかりの者が。



全てじゃナイけど、暴れたいんだろうな。悦や光江のゴロツキと組んで、いろいろ悪さを。


浅木との話し合いでも出たんだ。盗みや子攫いを捕まえたら、今井と縁がある、悦や光江の生き残りだった。なんて事が、当たり前になったって。



里人が捕らえたヤツらも、そうなんだろうな。山狩りして十三人。他にも居ると思うぜ。




「少し前に葬った、腰麻こしまの子。」


難しい顔をして、ヌエ。


「奥で浮いてた?」


ヒトに問われ、頷く。


「あの娘さんが、何だい。」


「何だいって、カツ。」


「ん?」


ヌエを見つめ、キョトン。



シンを攫って袋詰めにして、かついで運んでたのをセイに見つかった、あの男。大野のカズ。持ってただろう、割符わりふ。アレ、光江のだよ。


中主なすおさと捕まえたの、安の長のせがれだろ?


オカシイと思わないか。長の倅なら、安を立て直すのに努めるハズだ。何でゴロツキと組んで、人攫いなんて。割符まで持って。



「確かに、そうだな。」


ヌエの話を聞き、カツが考え込む。



思い出せ。一つでも良い、同じ何かを。顔、似てない。衣、どこにでも有るヤツだった。目、イッチャッてた。ありゃマズイぞ。


持ち物、・・・・・・ん? 持ち物。ナンカひっかかる。何だ、何だっけ。腰、足、頭。あっ、頭だ! 頭に付いてるモノ。



「思い出した! みずら、結び方。」


「いきなり何だい、カツ。」


「なぁヒト、会ったコトないか? 安の倅。首にある黒いのから、白い毛が生えてた。」


「いやぁ、ナイと思う。」


「ヤツと同じなんだ、大野のカズ。安と大野は近い。光江は遠いけど川を下って、海に出れば行ける。」


カツ、力説。


「安の倅と大野のカズは従兄弟いとこで、親が光江の生まれって、言いたいの?」


「そう!」


カツに抱きしめられ、セイが照れた。



「光江は縮れ毛、結うのにコツが要る。だから他と違うんだ、結び方が。」


「そうか、オレ分かったよ。浅木の長が、何を言いたかったのか。」


ヒトの目が輝いた。



耶万の王が代わってから、人攫いが増えた。洗いざらい聞き出し、割符を持つ男は、他とは違うと思った。でも何なのか、分からないってな。


鬟だよ、鬟。いろんな結び方が有るけど、長の倅なのに小さいのはオカシイ。早稲くらいだろ? 変えないの。だからオレの頭、ずっと見てたんだ。



「てコトでカツ、当たりだ。」


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