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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
623/1585

8-107 よく考えよう


「オレたち、隠れ里の子なんだ。」


中多なたおさせがれ、オロ。


「オレたちは兄妹。」


菜生なせの長の倅、サロ。隣にサナ。


「違う里だよ。」


中多の狩頭の倅、ロロ。



四人とも同じだ。木の実を採りに森に入り、親と離れた所を狙われ、大野に攫われた。


早稲わさ 近くの掘っ立て小屋から救い出され、迎えを待っている。



「オレも隠れ里。ずっと北にある、矢羽やわの子さ。」


狩り人の倅、オリ。胸を張り、ニコリ。


「オレも里の子。中主なすだよって、知ってるか。」


長の倅、シン。おどけてニコリ。






シンを攫ったのは、大野のカズ。狡賢ずるがしこく、そこそこ口が堅い。オリを攫ったのは、大野のガガ。口が軽く、オリの問いにスラスラ答えた。


幾ら聞き出すのが上手うまくても、兎原うさはらから早稲に着くまでの長い間、ペラペラとしゃべり続けるのはドウなんだ?




オリは矢羽の、狩り人の子。里を守るために、生きて戻るてだてを叩き込まれている。



攫われた時も『攫われた』と知らせるため、親から貰った弓を、迷わず真っ二つに折った。


捕まったら逃げるまでに、顔や持ち物を覚える。それから従うフリをして、要る事をイロイロ聞き出す。



子が狩りに出る時は、必ず三人。逃げる時は三つに分かれて、遣り過ごしてから木に登って、助けが来るまで待つ。それが隠れ里、矢羽の決まり。






「い、え、ない。」


ブルブル震えるココとミアを守るように、グッと前に出て、カセが思い悩みながら言った。


「そっか。西国にしくにの事は知らない。けど、早稲に残るのは良くない。カンだけど、そう思う。」


オリが言い切った。


「もし質とかなら、マズイかも。」


シンがポツリ。




オリは人攫いからイロイロ聞き出し、知った。しづめの西国の子を、他から攫ったと。考えられるのは耶万やま


大王おおきみが死んだって聞いたけど、嘘かまことか確かめられない。もし王が変わっていたら、質を戻すと思う。『ごめんなさい』って。



死んだなら戻せないけど、三人も生き残った。『知らなかった』なんて言っても、信じてもらえない。そうなれば、いくさが始まっちゃう。




「オレと釜戸山かまどやまに行って、全て話そう。釜戸かまどの祝は、とっても偉いんだ。他との話し合いだから、乱雲山みだれぐもやまだね。きっと祝の力で、話を通してくださる。」


ニッコリして、オリ。


「それがイイよ。君たちが話したくないなら、オレから話そう。どうする?」


シンもニッコリ。




どうするって、どうしよう。考えろ! ココもミアも姫さまだ。オレは兵頭つわものがしらの子、シッカリしなきゃ。


聞く限り、早稲は戦好き。風見かぜみと組んで、耶万に睨みを利かせている。と、思う。



釜戸山とか乱雲山とか、よく分からない。けど、強い祝が居るのは確かだ。祝ってガッチガチに守られるから、会いたくても会えない。近づけない。


ん。オリと釜戸山へ行けば、祝に助けてもらえる? でもなぁ・・・・・・。




「いろいろ聞いてから、話し合って決めるよ。」


カセが答えて、微笑んだ。


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