表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
620/1583

8-104 保安処分


私が愚かでなければ、多くの命を救えた。いくさは止められないが、闇は。


やしろから溢れた闇には、根の国の闇が混じっていた。中つ国と根の国のさかいがズレて、漏れ出たのだろう。その闇をタヤが取り込み、操って。



耶万神やまのかみ。そのように思いつめては。」


「ありがとう、マノ。でもね、私は救えなかった。」



耶万やまの男が、女を酷く扱った。言えないような事をして、追い詰め壊して。それで、それで・・・・・・。


穢されて死んだのは、タヤだけでは無い。他にも多くの女が、男によって苦しめられた。



死にたくなるような扱いを受け続け、殺される。


逃げられず変えられず、諦め受け入れるしかナイと思い込み。いや違う。そう思わなければ、生きられなかったのだ。



女や子を、モノとして扱う男は死んだ。死に絶えた。


耶万は変わる、変えられる。逃げた継ぐ子は多くを学び、春が来れば戻ってくる。次の社の司は、継ぐ子アコ。禰宜ねぎも祝も居ないが構わない。



祝の力は眠ったまま。けれどザク、ダイ、リキ、ヤヤには見える、聞こえる。アコと共に王を見張り、国を守るだろう。




耶万の大王おおきみになったスイ、大臣おおおみになったコロ、おみになったキキ。三人とも、酷く歪んでいる。


それでも従えるだろう。憎しみを抱いてしまったアコなら、きっと。




「ギリギリ締め上げれば、思い知るハズです。」


「イケナイよ、マノ。」



解って居ります。使わしめが堕ちれば、仕える神まで。ですから決めました。人に、祝の力を持つ人に、力を貸します。



アコの闇の力は、とても強い。王だろうが臣だろうが立ち向かうでしょう。継ぐ子たちは皆、大人から酷い扱いを受け、育ちました。




生まれて直ぐ放り込まれ、三つまで生きられなかった子。五つまで育ったのに、七つで死んでしまった子。七つまで育ったのに、生きられなかった子。


どの子も継ぐ子に看取られ、眠るように。



あの子たちは強く、賢い。


スイ、コロ、キキはツナギ。女や子を悲しませたり、苦しませれば迷わず、切り捨てます。


王や臣の代わりなど、幾らでも居ますから。



私は黒い蛇、隠なので闇にも強い。だから、お願いします。その時が来たら、迷わず私を放ってください。


醜く愚かな人をくびり殺し、根の国へ放り込みます。耶万から闇を広げるようなコト、決して認めません。させません。



「マノ。その時は、共に。」


「耶万神・・・・・・。」






「ゆ、るして。」


かむりを握りしめ、スイ。妖狐の本気を堪能中。


「弱いクセに、求めるなよ。」


目に怒りの炎を宿し、嫌呂きろろ


「いつ奪う? 今でしょ。」


真顔で迫る、悪鬼おき



コイツから魂を引っがして、獣に食わせよう。


痛みや苦しみを体に残して、魂に刻み付ける。オカシクなって忘れないように、芯だけ先に、根の国のひとやに入れよう。



二妖は思った。この手のヤツは、死んでも解らない。


解らなければ生まれ変わっても、グニャリと歪んで出てくる。で、同じコトを繰り返す。だから殺して、叩き直さなきゃイケナイと。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ