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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
619/1583

8-103 言いたいコトは


「人の王よ、良く聞け。あのつるぎは、他所よそに移された。」


呆れながらもマノ、優しく教える。


「他所ってドコだ。」


諦めの悪い男、スイ。せばイイのに、大きな声で。


「良いのか。」


「何が!」



とっても静かな夜です。やしろの隣に建てられた家には、二人の大臣おおおみ万十まとのイツと、氛冶ふやのアヤが居る。


来るよ来るよ、ほら来た。



「何をしている。」


剣を構えるイツ、弓に矢をつがえるアヤ。二人を照らすのは、嫌呂きろろの狐火。悪鬼おきは出口で、ニコニコ通せんぼ。


「んっと、あれ?」


ワザとらしく、キョロキョロ。


「用を足して、戻ったのですが・・・・・・。」


スイよ。くなら、バレない嘘を吐け。



中は荒らされ、グッチャグチャ。身なりからしてオカシイ。かむりして、その言い訳?


社に持ち込んだ品も、まぁ。


梯子はしごに縄、掬鍬すくいぐわ。どう見ても、隠れて悪さするヤツです。




「神の家で何をしている。答えろ、スイ。」


ジト目で、イツ。


「聞くまでもナイか。」


冷ややかに、アヤ。



秋の夜、冷えるハズなのにダラダラ。もしかしてコレ、冷や汗? では考えが纏まない、この感じ。『頭が真っ白になる』ってヤツですか。アハッ。


すっ、すんません。お願い、そんな目で見ないで。


オレ、見たかったんです。ピカピカ光る剣を。盗む? イエいえ、いえイエいえイエ。そんな、ないナイない。アリエマセンよ。ヤだなぁ、もう。






耶万神やまのかみ。この男、どのように。」


???


おおせのままに。」


???



なにナニ何だよ、何なんだよ。神? 耶万神? 御坐おわすのか、耶万やまにも。


オカシイじゃナイか。なぜ助けなかった、なぜ救わなかった。



どれだけ死んだと思っている! どれだけ奪われたと思っている! 殺されたんだ。人に、人じゃナイのに次から次へ、片っ端から残らず。




「言いたいコトは解る。けどな、人のときの神は動けない。だから閉ざし為さった。社に逃げ込んだ人を、闇から守るために。」


嫌呂が切り出す。


「耶万に人が残ってるの、当たり前だと思うのか。守られたんだよ、耶万神と使わしめに。」


スバッと悪鬼。



妖狐に詰め寄られ、声が出ない。


昼ならモフモフに挟まれ、心躍る? かもしれない。今は夜。青白い炎に照らされた、人と同じ言の葉を操る狐が二妖。


後ろには剣、矢を番えた弓を持つ男。二人と二妖にジロリと睨まれ、指すら動かない。



「お、オレは。」


「悪くない、ナンテ言うなよ。」


アヤに止められ、頬の肉がヒクヒク。


「それでも耶万の大王おおきみか。」


イツに問われ、クワッ。


「オレには向いてない! なのに王に据えられた。向いて無いんだよぉぉ。」


スイが叫び、さめざめと泣き出した。


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