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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
613/1585

8-97 レアアイテムを入手して、覇者になろう


「疲れたぁ。」


バタッ。


「スイ、生きてるか?」


「オウ、何とかな。コロは?」


「生きてるよ。キキは?」


「オレも生きてる。」




大王おおきみに就任した元、水手かこのスイ。大臣おおおみに就任した元、狩り人のコロ。おみに就任した元、釣り人のキキ。三人とも生き残り。


先代の耶万王に命じられ、北へ送られたつわものたち。本気を出したおにや妖怪、祝など。アブナイのに狙われ続け、生きて戻ったのは三人だけ。




「なぁ。オレたちに、務まると思うか。」


「えぇぇぇ。」


「まぁ、難しいだろうな。」



三人ともクッタクタ。ビタァっと伸びたまま、動かない。朝から夕までイロイロ叩き込まれ、頭が割れそう。



「そういえば、聞いたか。」


起き上がろうとして諦め、仰向あおむけに。首だけキキに向け、コロが切り出す。


「聞いたって、何を。」


同じように、首だけコロに向けるキキ。


「海を渡って儺国なのくに。それから誰かが奪って、耶万やまの大王に差し上げた『王のつるぎ』の話。」


「重くていくさに向かない、古い飾りのコトか?」


「そうそう、それソレ。」




耶万が光に覆われる、ずっと前の話。


大王に呼び出されためかんなぎが、神のお告げを伝えた。バタンと倒れ、それから指差したのだ。儺国から耶万にもたらされた、鉄の剣を。



死んだ大王は思った。


『あの剣を軽く振り回せる者が、やまとを手に入れる。競い争い、勝った者にしか扱えない。そんな剣だからこそ、耶万に引き寄せられたのだ』と。




「その剣が、どうした。」


気だるげに、スイ。


「前の大王が使ってた建物。その焼け跡から、見つかったんだよ。」


目を輝かせ、コロ。


「気持ち悪いくらい、ピッカピカだった。」


「見たのか、キキ。」


スイの目の色が、ガラリと変わった。




剣を軽く振り回せれば、やまとの王になれる? 嘘だろう。そう思っていた。でも、もしまことなら。


やまとの王になれば、万十まと氛冶ふやも怖くない。コロリと倒れるだろう。そしたら好きに生きられる。イイじゃないか。




「スイ?」


「なぁキキ。それ今、ドコにある。」


「さぁ。コロ、分かるかい?」


「知らない。」



大王に大臣、臣も知らないんだ。イツかアヤが隠し持っている。そうに違い無い。


コッソリ持ち帰り、万十か氛冶の王を殺して、次の王に。それから、やまとの王になるツモリだろう。



させるか! やまとを統べるのはオレだ。フフ、フフフ。やしろと助け合って、耶万を守る? んなコト知るか。


次の社の司になるのは、継ぐ子のアコ。年は十一、夏生まれ。十二になったら戻ってくる。そう聞いた。



冬が来る前に剣を手に入れて、ヤツらを従える。クックック。


ん、待てよ。あのしゃべる狐。『大蛇神おろちのかみの使いだ』トカ、言ってたな。社に入り浸ってるが、消せるのか? いや消そう。


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