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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
610/1583

8-94 君なら、どうする?


『もう誰も痛い事しない』そう言われて、とても嬉しかった。



死んだけど、もう動けないけど胸がね、ポカポカしたの。セイさん。看取みとってくれて、ありがとう。カツさん。手厚く葬ってくれて、ありがとう。


私は腰麻こしまのアイ。父はいくさに取られて、死にました。母と姉も、生きてイナイと思います。


弟は大野の男に、竹槍たけやりで殺されました。私を穢した、あの男に。かたきを討ったら、腰麻に戻ります。



・・・・・・あれ。



魂は抜けてるケド、こうべを見れば判る。間違い無い。獣に食い散らかされ、バラバラだけど、この感じ。忘れるモンか。


コイツ、死んで当たり前のヒトデナシさ。安に悦、光江にうね、大野の生き残りと組んで、アチコチで子を攫って売っ払いやがった。


そうだ、あの子たち。



・・・・・・あれ。



逃げた? 縛られていた縄が、一つも残って無い。というコトは、助け出された。誰に。この辺りには、早稲わさしか。


良かった、救われたんだ。どの子もサッパリしていて、明るい顔をしている。酷いコトも嫌なコトも、つらい思いもせずニコニコと。



みんな幸せにね。きっと、きっと生きて。死ぬまで生きてね。私、腰麻に戻ります。さようなら。


早稲の皆さん、ありがとう。ありがとう。






「ガッ! ったい何なんだ。なぜ通れない、なぜ力が抜ける。なぜ、なぜだ、なぜ。」


「アンナさま。もっと多く奪えば、通れるのでは。」


「なぜ、そう思う。」


「体の一部だけ、見えない壁を通るからです。ぐに引くので、分かりにくいのでしょう。指を思い切り、突き刺してください。」


「分かった。」



・・・・・・と、おった。



「もっと奪えば、この体ごと通る。そうだな。」


「はい。」



この壁の向こうに、霧雲山がある。


中の東国ひがしくに、だったか。その中心に在るのが、霧雲山の統べる地。常に深い霧がかかっていて、雲のようになっている山を探す。



間違えないよう、シッカリ見なければ。いつも雲がかかっている、高い山は乱雲山。霧雲山の方が高いから、見れば判ると言っていたが。



「奪うぞ、マリィ。」


「ハイッ。」



どこに行っても戦、戦。


戦が好きなのか、ココの生き物は。怪しまれず奪えるから、まぁ良い。力を蓄え、一気に攻める。狙うはエン、ただ一人。捕縛し連れ帰れば、あの化け王を倒せる。



バケモノめ! 大王に跪き、命乞いせよ。オマエの存在そのものが悪なのだ。


サッサと気付け、愚か者。なぜ生きている。生きていて、恥ずかしくないのか。何が王だ、バケモノの分際で厚かましい。






「カー様?」


ネージュを優しく撫でながら、ニッコリ。


「何でもナイよ。」


君ならドウする? エン。


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