表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
586/1582

8-70 堂堂巡り


「消えた?」


杵築大社きづきのおおやしろにて、大国主神おおくにぬしのかみ


「はい。生き物が残らず。」


こうべを垂れる、使い兎。



正確には、動物が消えました。魔物に体を奪われた妖怪が、骨ごとバリバリ美味おいしくネ。



「申し上げます。」


違う兎が、ピョンと参上。


「消えたのか。」


「はい。夜明け前に一つ、里が消えました。」



バケモノめ! 響灘ひびきなだを越え居ったか。しづめ西国にしくにから、中の西国へ?


大祓おおはらえに耐えたと。いや、り行われる前に海へ出た。とすれば、これからも。



はじめは海沿いの村、昼過ぎに滅んだ。次は山中の村、日暮れから夜に。その次は山里、夜更けに滅んだと聞く。



「・・・・・・舟。」


「大国主神?」


「はじめに滅んだ海沿いの村。そこから近い浦に、舟は。」


使い兎たち、揃ってパチクリ。えっ、どうだっけ?


「調べよ。」


「はい。」


ピョンと跳ね、タッタと浦へ。






「このまま、では。・・・・・・グッ。」


「もたぬ、ぞっ。」



まつられなくなっても、御隠れになるまでしばらく。その気に御為り遊ばせば、鎮の西国ごと祓い清められる。ハズなのに、どうにも。



三柱では難しかった闇を、九柱で。それでも祓い清められず、更に三柱、三柱、三柱。それでも闇は濃く、深く広がる。


あちらこちらで執り行われている。なのに、闇に飲まれそうだ。このままではイケナイ。とはいえ、どうすれば良い。




おにときは。」


いまだ。」


魂食湖たまくらいのみずうみは。」



山守神やまもりのかみは御閉じ遊ばした。夜が明けて直ぐ、統べる地を全て。『二夜ふたよ二年ふたとせに感じられた』とか何とか、おっしゃったそうな。



「隠神は。」


「一柱も。」


「なっ、なぜだ!」



イジワルしたから。耶万やまの大祓に加わりなさった、国つ神に。隠の世では、知られた話よ。



「アァァァァァァ。」



一柱、また一柱。力を失い御隠れに。天つ国にも根の国にも許されず、執り行われた大祓。たとえるなら節を抜いた竹筒に、水を注ぐようなモノ。


祀る人が消えた里や村、国に御坐おわした神とて、そんなには。よって集い、御力をふるわれれる神は少なく、闇は深まるばかり。






「このままでは。」


「しかし、どうすれば。」



いつまで続くの? 堂堂巡どうどうめぐり。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ