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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
585/1587

8-69 手遅れになる前に


しづめ西国にしくにで溢れた闇により、多くの神が。



限られた地で、酷く多くの雨が降る。大風おおかぜも加わり、河や川から流れ出た大水おおみずで、里や村ごと流される。


地が大きく震え、崩れた山。雷が落ち、燃えた山。水を吸いきれず、流れた山。そんな山に飲み込まれ、埋まった里や村、国も。



はかなくなるのは生き物だけではナイ。山が崩れれば、その山に御坐おわす神も。山神、木神、岩神。泉神、沢神、川神などナド、多くの神が御隠れ遊ばす。



あっちでも大祓おおはらえ、こっちでも大祓。それでも祓いきれず、闇が広がる。濃く深く、ドロリとした闇が。






「三柱では、どうにも。」


「なら、九柱で。」



耶万やまで三柱、大貝山の統べる地で三柱、閉ざし闇を止めるのに一柱、おにときで三柱。合わせて十柱。あまつ国と根の国の許しを得て、執り行われた。


少し考えれば解るハズ。三柱九柱では、どうにも為らぬと。



「天つ国へは、どのように。」


「根の国へは、どのように。」


「隠の世へは、どのように。」



どのように、どのように、どのように。・・・・・・全く分からない。こんなコトになるなら、一九社じゅうくしゃで。そう思っても悔やんでも、時は戻らない。



隠の世が閉ざされ、妖怪の墓場にも入れず、和山社なぎやまのやしろへ行けない。


黄泉平坂よもつひらさかは開いているが、根の国へ入れれば事足ことたる。なんてコトに、なるワケがナイ。



「いっそ、魂食湖たまくらいのみずうみから。」




とっくに閉ざされました。どんな手を使っても力を尽くしても、隠の世へ行けません。人の世からは。


畏れ山、霧雲山、神成山かみなりやまの統べる地からは、行けますヨ。良山よいやまにある良村よいむらの、大蛇社おろちのやしろを通って。


はい、その通り。いて行っても、難しいでしょう。




魂食山たまくらいのやまは、霧雲山の統べる地。」


「霧雲山は、中の東国ひがしくにに。」


「中の東国は閉ざされた。」



・・・・・・終わった。






はらい清めなければ。」


「そうは言っても。」



少なく見積もって八十一柱。鎮の西国、丸ごと祓い清めるなら六千と、五百六十一柱。


御坐おわすでしょう。けれど、闇堕ちする恐れが。それでも良いと、危ないと解っていて御力添えくださる神が?



忘れちゃイケナイ。天つ国と根の国に、いただかねば。大祓の御許しを。隠の世は天つ国とも、根の国とも結んでいる。だからぐ、御許しを得られた。



人の世も隠の世も、同じ中つ国に在る。しかし何もかもイロイロ、大違い。



「・・・・・・大国主神おおくにぬしのかみ。」


「中の西国は、開いている。」


「そうか。」


「出雲へ!」



偉大な国土の主の神で在らせられる、大国主神。天つ国とも根の国とも、繋がりを御持ちですが・・・・・・。


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