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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
584/1586

8-68 新生、早稲


耶万やまに滅ぼされた大国おおくにの一つ、光江。


生き残りは皆、奴婢ぬひになった。強いのには媚びるが、弱いのは虐げ、奪う。それが光江の遣り口。嫌なヤツらだ。



海の近くに在るから、遠くから攫って来る。狙われるのは若い女や、狩り人の子。舟で近づいて、サッと連れ去る。心が折れるまで虐げてから、どうするか決める。




「あのな、ヌエ。光江はエゲツナイし、キタナイぞ。」


「カツが言うんだ、違い無い。」



そんなトコに誰かを行かせれば、攫われ売られるだろう。させるか! 耶万が変わったように、早稲わさも変わったんだ。



「こんな足でも大臣おおおみだ、攫わないハズ。だからオレが行く。」


「ヌエ一人じゃ、行かせられない。」


「今の早稲に戦える男は少ない。もし今、攻められたら滅ぶだろう。ヒトとカツは残らなきゃ。」



分かっている。でも、嫌なんだ。シンは早稲を捨て、ジン兄は死んだ。残ってるのは、オレたち二人だけ。


頼むよ兄さん。おみとしてオレを支えるって、言ったじゃないか。ずっとずっと、そばに居てくれよ。



「シギ。食べ物を出すのは、早稲だけか?」


「いいえ。浅木、大倉、大稲も出すと。」


「じゃぁ、浅木と共に行けば良い。」


カツがサラリと言って、ニッコリ。


「そうしよう、ヌエ。」


「そうだな。」


兄弟が見合って、頷いた。





「早稲も出すそうです。」


やしろの司が、ソッと伝える。


「そうか。なら、風見かぜみも出すか。」


腕を組んで、おさがポツリ。



耶万ではなく光江に。というのが、どうも気に食わない。光江だぞ。耶万へ運ぶまでに、ゴッソリくすねる。そういうの、呆れるほど上手うまいんだ。光江のヤツらは!


他にも気になる事が。アチコチで子や、女が消えた。聞く限り水の近く。舟で近づいて攫うか、攫って舟に乗せるか。そんなコトするのは安、大野、光江。



安の生き残りは、どこかの国守が片付けたらしい。残るは大野と光江。うねや悦もアヤシイが、川から離れている。



「送るのは、ウン。舟に乗るだけで良い。」


「はい。」



社の者ではなく、狩り人に行かせよう。


耶万に滅ぼされた国には、祝の力を持つ者は居ない。残らず死んだか殺された。だから今、外へは出せない。



早稲に居るのは、社の司だけ。狩り人、釣り人も少ないから、臣が出るだろう。



「急ぎ、狩頭を呼んでくれ。」






実山みのやまも出すか。」


社の司から『大倉と大稲も出す』と聞き、長がポツリ。


「それがよろしいかと。」



舟で運ぶのは良いが、光江はマズイぞ。万十まと氛冶ふやが見張っても、ちょろまかす。横取り、横流しナドお手のモノ。


港なら加津にも有るのに、なぜ光江なんだ。



割符わりふを作ってもらおう。『断るなら出さない』そう、伝えておくれ。」


「はい。」


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