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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
562/1583

8-46 分が悪い。なのに


「やまとにも居るのか。新たな一族をしのぐ力量の、魔物が。」



第一次追跡隊、一班は直ぐ全滅。二班は東の果て、やまとに上陸。連絡が途絶え、後続部隊を派遣するも全滅。


王女だけに持たされる指輪が、岐国きのくにの沼底から発見された。


指輪を持ち帰ったのは、第四次追跡隊。生きて戻ったのは一人。強靭な肉体と、驚異的な再生能力を持つ。そんな男が、瀕死の状態で。



今でもハッキリ覚えている。ヤツが王城に来て、言った。『諦めろ。エンは戻らない』と。


冷たい目をして微笑み、バチンと鳴らす。サッと開いた空間から、ドサッと落ちた男の手に、指輪が握られていた。


気付いていたハズ。あの指輪に仕込まれた、特別な力に。才とは違うが特質系、録音の才に似た力。戦闘には不向きだが・・・・・・。



「知っていて?」



狂犬が集めた才の中に、予知や合成も有った。知っていて、分かっていて聞かせたのだ。 バケモノめ! 何を企んでいる。


アンが死んだのは、海から離れた平地。オカシイ。上陸したのは岐国。アンとサンは、どちらかといえば不仲。だから纏め役を、カーに任せたのだが。



あの三人が、行動を共に? 有り得ない。バラバラに動いた筈だ。アンは海沿いの村を滅ぼし、山に入った。生物系感知の才を持つアンなら、直ぐに分かる。


サンが持っていたのは、生物系鑑別の才。アンには劣るが、視野に入れば分かる。海沿いを選んだハズだ。



「公開処刑される前に、奪わせた才。」



父王に献上された一族の中に、居たな。禁忌の才、特質系融合を持つのが。


狂ったか、化け王。他国に放ったバケモノを育て、いづれ。いや違う。ヤツなら我らなど、一瞬で殺せるのだから。



「死んでから見つかるまで、時が経ち過ぎている。」



指輪が見つかったのは、偶然では無い。呼ばれたような気がして振り向くと、沼が光って見えた。手を翳しただけで、引き寄せられるように飛んできたと聞く。



第五次追跡隊が仕入れた情報の中に、バケモノが生き血を啜り、村一つ滅ぼした。そんな話が複数。海沿いから山を越え、反対の海沿いへ。話を繋ぐと、そうなる。


そのバケモノが、アンとサン。二人の死体を融合し、やまとの化け物を加え、強化した? 有り得る。


ヤツは頭がオカシイ。塔に閉じ込めたイキモノを等しく、人として扱った。才を奪ってから、望むなら帰すと。思えば、あの二人の扱いも。



報告によれば、ルーの死因は衰弱。不老の才に耐えられず、化け王城で死んだ。もし、奪われたのなら。


エンも死んだ? いや、それはナイ。カーのコトだ。死んだなら、ルーの隣に葬るだろう。化け王城には入れないが、調べさせた限り、そんなモノは無かった。



「バケモノは、やまとの。」



・・・・・・戻すか。いや、まだだ。もう少し情報を。



「あっ!」


「どうした、ウィ。大きな声を出し、て。」



送られてくる映像から、目が離せない。アンナとマリィが、やまとの魔物に囲まれた。深手を負っている。血を流しながらキッと睨み、間合いを詰める二人。


分が悪い。なのに引けない、いや引かない。狙っているのだ、隙を。弱点を。


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