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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
釜戸社編
56/1628

4-10 お、終わったぁ

「な、なんと。それは違い、ないのか。」


社へ続く道を歩いていたら、聞こえてしまった。




「お、はようございます。シロさま。」


「おはよう。で、違いないのか。」


「何が、でしょうか。」


「山守が、祝辺を攻めたと。」


「はい。谷河の狩り人から、聞きました。」


「で、祝辺の守は。守は。」


「さぁ。」




霧雲山は、大きな力で守られている。許しなく山に入れば、必ず死んでしまう。とても恐ろしい山だ。


釜戸山だって、許しなく山に入れない。かたく禁じている。山で暮らす人たちが、しっかり守っている。そう、人が守っている。



霧雲山は違う。


頂きから、大きな力で。祝辺に眠る、魂とか、魂とか、魂とかが守っている。


もし、守が倒れたら? 山を守る、大きな、ち、力が。き、霧雲山の、そ、外まで。



怖い。怖すぎる。釜戸山から霧雲山まで、離れている。離れているが、灰は届く。と、いうことは、来るのか。き、来てしまうのか?




「エイさま。」


た、た、助けて。って、あれ?


「シロさま、おはようございます。」


何だ、祝人か。ん?


「ササ、おはよう。エイさまは。」


「もう、しばらく。」


寝坊かぁ。


「おはようございます。シロさま。」


ヒッ、サカ。


「おはよう、サカ。エイさまは。」


怖いです。そんな目で見ないで。


「もう、しばらく。シロさま、お忘れですか。」


な、何を?


「エイは幼子。村から社まで、時がかかる。だから。」



「そ、そうでした。」


いつも、ナガが抱えて来るじゃないか。早く来られるだろう。いくら何でも、甘すぎやしないか。って、すいません。


「良いのですよ。他の、誰かが、祝になっても。あの子は五つ。私たちは良いのです。むしろ。」


「い、いえ。エイさまにしか。エイさまにぃ。」


冷や汗が、滝のように流れた。ど、どうする。サカは祝女だが、エイさまの伯母。ササは従兄。


このやりとりを、ナガが知ったら。お、終わったぁ。エイさまの他に、祝が務まる者は、いない。




「祝人の前に、父だ。」


ヒィッ。


「どうされました。シロさま。」


サ、ササ。キョロキョロ、キョロッ。


「おはようございます。シロさま。」


禰宜になってから、遠くに感じるんだよな。昔は、さ。伯父さま、伯父さまって。あんなに懐いてたのに。今じゃ、こう。どうなってるの?



「おはようございます。ロクさま。」


「おはよう、ササ。」


わぁ、キラキラしてる。


「社の司、何かあったのですか。」


「ん。」


「社に来るなり、エイさま。と、叫んだとか。」


あっ、そうだ。



「祝辺が、山守に攻められたらしい。」


ああ、それで。


「大きな力が、霧雲山の外へ。そうお考えですか。」


おっ伯父の、こっ心がっ、読めるのか。


「そうは、なりませんよ。攻めはした。が、頂きの前で崩れた。そう聞きました。そもそも、強い力がなければ、祝辺の守は務まらない。負けるわけないでしょう。」


ニコリ。


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