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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
559/1585

8-43 もう、闇は


人の子を身籠っている。そう思っていた娘は、泣き崩れた。死に別れた思い人の子では、なかったから。



はらんでいる娘を集めて、確かめました。」


「で、他に?」


土がみつに問う。


千砂ちさと大石に二人づつ、加津と会岐あきに一人づつ。他と違う合いの子が、見つかりました。」



ミカとモトは急いで、会岐に飛んだ。国守フタに会って話し、皆で調べ大石へ。国守クベにも話し、調べた。


国守たちは思った、他の国にも居ると。会岐、大石、加津、千砂の国守は結び、助け合っている。しかし他の地は? 国守の居ない地は?



「国守を他の地へ向かわせ、調べよう。そういう話も出ました。けれど・・・・・・。」


バウとクゥが、目を伏せる。


「会岐、大石、加津、千砂では次から次に、腹を破いて出るのです。国守が居なければ、守れません。」


悔しそうに、ロロ。


「そこで私どもが集まり、話し合いました。」


蜜が語る。



他とは違う合いの子が、人を傷つけるとは限りません。人も妖怪も同じ。合いの子だって、同じです。


もししき妖怪が生まれれば、迷わず奪います。私どもは知って居りますので、奪えます。もし知らなければ、どうでしょう。



皆に認められた、妖怪の国守なら何とか。そのような生き物、人に扱えますか。いいえ、扱えません。


耶万に滅ぼされた国の祝は、その命を落としました。殺されたのです。生き残りの中には、継ぐ子も。けれど皆、幼い。



人の暮らしと幸せを守るため、私どもに出来るコト。それは何でしょう。ありのまま、伝える事です。


他とは違う合いの子は、人の子と同じように生まれると。生まれなければ、良し悪しが分からないと。



大貝神おおかいのかみに御伝えください。この地を守るために。」


クゥ、バウ、ロロ、蜜。土をジッと見つめる。


「はい。」


やっとの思いで、一言。



耶万やまに勝ったり、退しりぞけた国には居ない。関わりの有った早稲わさ風見かぜみにも。風見が滅ぼした、沼田にも居ない。つまり居るなら、耶万に滅ぼされた国。



「早稲、風見。耶万と言えば。」



霧雲山の統べる地から引いた。早稲と風見は組んだが、耶万はうかがっている。きっかけは、蔦山とのいくさ



風見は思い知った。北の地に手を出せば、必ず殺される。命が幾つあっても足りない。釜戸の裁きは人と人、雲井の裁きは国と国。祝の後ろには、おにや妖怪が。


南には戦が多い。戦い慣れていて、薬も扱える早稲と組めば、風見は残る。沼田で育てるアレコレも、早稲に流せば良いモノに。耶万と組むより、ずっと良い。



早稲は、釜戸の裁きを二度ふたたびも。おさの兄が裁きを受け、共に裁かれた狩り人と戻った。それから、かくまわなくなった。なのに駆け込んでくる。


人が減った早稲は、考えを改める。逃げ込んで来た人や、助けを求める人を受け入れだした。子を産ませるために、しっかり選んで。



耶万は変わる。人のときから万十まと氛冶ふや、隠の世から蛇神の使い。継ぐ子が戻るまでに王を鍛え、立て直す。社が王を見張り、国を支える。それが新しい耶万。


戦好きを遠ざけ、穏やかに暮らす。それが皆の幸せに繋がるから。



『変えよう』そう思った時が、変わる時。


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