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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
542/1583

8-26 私は、恐ろしい


はじまりの一族は末流に至るまで皆、等しく失った。化け王によって、全ての才が奪われた。


送り込まれたバケモノは、才を奪われた王族により生み出された、新たなバケモノ。日の下に出られず、夜にしか動けない。






「申し上げます。人のとき、中の東国ひがしくに。霧雲山の統べる地を除き、閉ざされました。」


「そうか。疲れたろう、夜まで休みなさい。」


「はい。ありがとうございます。」



化け王は、おみを呼び戻された。つまり新たなバケモノは、生き血をすする。化け王に守られていても危ない、という事。いづれにせよ、手出しさせぬわ!


隠の世、妖怪の墓場も閉ざした。治めの神も、統べる地を。中つ国で開いているのは、人の世だけ。今は開いている湖も、夜明けと共に閉ざされる。



さぁ、どうするバケモノ。隠の世には入れぬぞ。


人の世に留まるのは、望まれて国守になった妖怪。守ると決めた合いの子に手を出せば、命は無い。それでも戦うか。






「どど、どうする。」


「どうもこうも、許し札を持たずに入れば。」


「魂を食らい尽くされる。」



西国にしくにの使わしめたち、真っ青。



「しかし他に。」


「戻るか、しづめの東国に。」


「いや、閉ざされた。」



真中まなか七国ななくには開いているが、頼れない。鎮の西国ほどでは無いが、闇が溢れている。国つ神は守る地を閉じ、やしろに御籠り遊ばした。


人はいくさに明け暮れて、闇を濃くするばかり。このままではイケナイ。分かっているが、どうすれば。



「戻ろう。」


「しかし。」


「ありのまま、御伝えするしか無い。」



霧雲山の統べる地は開いているが、よく見ると閉ざされている。同じだ。守る地を御閉じ遊ばし、社に。魂食山たまくらいのやまは開いているので、はかるには持って来い。


手分けしてアッチコッチ飛び回っていた使わしめたち。ワラワラ集まり、喧喧諤諤けんけんがくがく



「あっ。」


「えっ。」



日が暮れた。月のない夜、辺りは真っ暗。魂食湖たまくらいのみずうみに呼ばれているような気がして、フラフラァ。



「気を確かに。」


「シッカリしろ。」


「戻ろう!」



決まったものの、闇夜を行くのは危ない。夜が明けるまで、この場に留まることに。ガクガク、ブルブル。






「スオさま。私は、人なのでしょうか。」


「アコは人の子。祝の子か、孫であろう。」


「私は恐ろしい。日に日に闇が、この身に馴染むのです。」



良那神らなのかみの使わしめ、スオは知っている。耶万やまの継ぐ子アコは、優しく強い子だと。



望んで歪んだのでは無い。生き残るため、歪んでしまったのだ。


闇の力が出なかったのは、使い捨てられると解っていたから。心の奥底に沈め、生きようとしたから。


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