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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
539/1583

8-23 困った時は、お互い様


人のときの神は、ノンビリなさって御出でだ。


使わしめから知らせを受けられ、『良山よいやま御坐おわ大蛇神おろちのかみへ、言伝ことづてを』と御決め遊ばすまで、時が掛かり過ぎた。



使いがやしろを出たのは、昼前。大急ぎで向かったものの、四つ国に着いたのは昼過ぎ。ハイ、その通り。閉ざされてました。


おにの世は閉ざされても、妖怪の墓場は閉ざされない。保ち隠に会って話せば、通してもらえる。こうしちゃイラレナイ、急げ!



しかし、閉ざされていた。バッテンが刻まれた立て板を見て、悟る。遅かったと。隠の世が閉ざされるコトは、まぁそう珍しくナイ。しかし、妖怪の墓場は違う。


使い隠の代わりに、立て板が。そこまでのコトが、人の世で。となれば隠、妖怪も危ない。狙われるのは、生き物だけでは無い。ってコトは・・・・・・。






「ど、どうしよう。」


使わしめ、頭を抱える。



立て板に刻まれたのは、進入禁止マーク。許し札を持っていても、決して入れない。そういう膜が張られたのだ、隠の世に。



「四つ国から行けなくても、真中まなか七国ななくになら。」


フラフラと立ち上がり、いざ!



西国と、四つ国の間には海。それでも閉ざした。急がねば。中の西国にしくにと真中の七国は、陸続おかつづき。真中の七国が閉ざされていれば、南国みなのくにも。



中の東国ひがしくには、大貝山の統べる地が閉ざされたと。


耶万やまで執り行われた大祓おおはらえのち、開かれたハズ。もし閉ざされたままなら、しづめの東国まで行かねば。



「そう、ですよね。」


膝から崩れ、ペタン。



真中の七国、南国、中の東国、鎮の東国。どこも隠の世は固く、閉ざされていた。


アッチコッチ休みなく飛び回り、もうヘトヘト。夕暮れ、日暮れ。辺りは真っ暗。



「ここまで来たのに。」


「嘘だと言って。」


「終わった。」



西国に御坐す神の使わしめ、揃ってゲッソリ。






「ごめんください。」


西から来た使わしめたち。困り果て、社へ。


「はぁい、ただいま。」


白神しろかみの使わしめ、キョキョ。熊啄木鳥くまげらの隠である。



鎮の東国、南に広がる白神山の地。そのふもとに在るのが、白神社しろかみのやしろ。因みに白神山には、妖怪の墓場もある。



「やまと隠の世は全て、閉ざされたようです。」


「そうか。」



隠の世を閉じる。そう聞いて驚いたが、閉ざさなければ守れないホド、強い闇が西国で。



出雲、一九社じゅうくしゃ。大貝山の統べる地に御坐す神神かみがみ、大蛇神を交えて毎夜。


あのはかりは、このたびの事に繋がっていたのか。それとも他に、何かトンデモナイ事が起きたのか。確かめようにも、確かめられない。



この地は、西国から遠く離れている。もしそのわざわいもたらされるなら、和山社なぎやまのやしろから使いが。それまでは、待つより他ない。とはいえ、このままでは気の毒。


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