表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
538/1583

8-22 七日でコウですよ


「タイヘンです! 死にました。」


「死んだ?」



「里が滅びました。」


いくさか?」



「若いのが殺されました。」


「ん?」



・・・・・・何だってぇぇぇ!






人の命は短く、アッサリ死ぬ。病で、傷を負って、頭をつけて。争って、いさかいで、戦で。老いて死ぬまで生きる人が、だんだん少なくなっている。


しかし何だ! 血を抜かれて死ぬ? そんな話、聞いたコトが無い。眠るまでは生きていたのに、朝になったら死んでいた。むくろの首筋には、穴が二つ。


獣に噛まれたなら、歯の跡がつく。残されたのは穴だけ。とすると、長い牙を持つ何か。



おにとき、隠神に使いを。」


「それが、その。」


「何だ。」


「出雲にて隠から・・・・・・その、イロイロと。」


虐めたからね、マノを。嫌われたからね、蛇から。


「そうであった。」


心当たりが有り過ぎて、お顔の色が優れません。



人の世も隠の世も、中つ国に在る。人の世を閉ざす事は出来ないが、隠の世は閉ざせる。


はじまりの隠神は躊躇ためらわず、御力をふるわれるだろう。あまつ国、根の国とも結ばれ、隠の世を守り為さる。



閉ざされた。それが全て。


わざわいもたらされる前に、西国にしくにを。ならば四つ国、真中まなか七国ななくにから行けば良い。となれば、和山社なぎやまのやしろへ。



いや待てよ。大蛇神おろちのかみめぐし子は確か、良山よいやまだったか。霧雲山の統べる地で暮らす、祝の力を生まれ持った幼子おさなご


隠の世へ行かずとも、そこへ行けば良い。



「良山へ行き、大蛇神に御頼みしよう。」


「どちらの良山で。」


「霧雲山の統べる地に在る、良山だ。」


・・・・・・ん?



杵築大社きずきのおおやしろでの神議かむはかり。そののちに開かれた、一九社じゅうくしゃでの議りに御出でなら、御存知のハズ。


大実山おおみやまが、良山に変わったコト。愛し子に、強い力が有るコトも。



「さあ、急いで言伝ことづてを。」


「ハッ、はい。」


良山って、ドコに在るのぉぉ!






「ニャ、ニャァ。」 グ、グルジイ。



断れるなら、断りたかった。人の世から溢れた闇は濃く、深い。幾ら隠が闇に強くても、アレはイケナイ。だから務めた。で、こうなった。


人の世の神はスゴイな。あの闇に曝され続けても、ピンピンしていた。七日でコウですよ、私。



「猫神。今、しばらく。」


隠の祝ミツが、ソッと触れる。


「ニャァ。」 ハァァ。


少しづつ闇が清められ、体が軽くなった。



人の世で受けた闇は強く、一度ひとたびで清める事は出来なかった。いや清められるが、障りが。



隠神は闇に御強い。神で在らせられるのだ、光にも御強い。とはいえ、弱った御体には毒。だから少しづつ、ゆっくりユックリ清めなければ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ