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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
537/1583

8-21 緊急バケモノ警報、発令


化け王が、おみを戻した。姿を消す事が出来るブランを隠すのでは無く、呼び戻した。それだけ危ない『何か』が起こる。いや、起きた。



大社おおやしろでの神議かむはかり。七日の間、人のときを預かり為さった猫神が、戻られて直ぐ。闇に強いおにが、それも治めの隠が倒れ為さった。


耶万から溢れた闇より、深く濃い闇なのだろう。



しづめ西国にしくにに中の西国、真中(まなか)七国ななくにも閉じた。万が一に備え四つ国、南国みなのくに、中の東国ひがしくに、鎮の東国。全て閉じよう。


伝えたい事があれば、やしろから使いを出せば良い。夜が明けたら、使い蛇を。



隠の世から許し無く、人の世へは行けぬ。直ぐに戻れぬ所なら、治めの隠。直ぐ戻れる所なら、保ち隠。どちらかの許しを得ねば、外へは出られぬ。


知らせるのは朝、閉ざすのは昼。戻れぬ隠や妖怪のため、魂食湖たまくらいのみずうみ二夜ふたよ、残そう。






蝙蝠神こうもりのかみからの知らせを受けて直ぐ、姿を消した。つまりアンリエヌの者であっても、化け王に仕える者では無い。と、いう事。


はじまりの一族は、化け王を入れて五人。アンリエヌから出られるのは、化け王のみ。『才』と呼ばれる力を奪われた、他の四人が動けるのは、確か夜だけ。



他の四人が許し無く、生き血をすする臣か何かを、やまとに送り込んだ。その者らが何か、いや違う。その者らの力が奪われ、わざわいもたらすのだ。


合っていればくる日、和山なぎやまか霧雲山へ御出で遊ばす。その時、うかがえば良い。化け王が見守るのは、霧雲山の統べる地・・・・・・。



「まさか!」


マル特製、石積みの社が揺れた。






「朝早く、申し訳ない。しかし急ぐのだ。」


和山社なぎやまのやしろに集められた使い蛇、シュルっと蜷局とぐろを正す。


「やまと隠の世。魂食湖を除き、全て閉ざす。」


パチクリ。


「残すのは二夜。夜明けと共に、閉ざす。」


ポッカァン。



西国で溢れた闇は、深く濃い。杵築大社きずきのおおやしろでのはかりの間、猫神が人の世をお守りに。


務めを果たされた猫神が、社に御戻り遊ばして直ぐ、倒れ為さった。それだけでも大事おおごとなのに、蝙蝠神が和山社へ。



西国で何か、とても恐ろしい事が起きている。西国は閉ざされているから? いやいやトンデモナイ。



「では皆、急ぎ言伝ことづてを。」


「ハイ!」


シュル、シュルルゥ。






「なっ!」


「えっ!」


「ひっ!」



やまとに、アンリエヌのバケモノが入った。


化け王は良いバケモノだが、入ったのは悪いバケモノ。首にかぶり付き、生き血をすする。むくろの首筋に、牙の跡が残されていた。



姿は人。獣とは違うが、牙を隠し持つ。バケモノとしか言いようがない。そんな生き物が、霧雲山を目指している。


鎮の西国から中の東国まで、血を奪われた骸が転がるのか!



バケモノが動けるのは夜、隠の世が閉ざされるのは昼。外に出ている隠たちに伝え、急いで戻さなければ。


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