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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
534/1583

8-18 吸血鬼、やまと上陸


アンリエヌから東へ進みつづけ、やっと得た手掛かりは二つ。『やまと』『霧雲山』 金髪に紫の目。青い衣を纏い、白い獣を従えた神がいるらしい。




「フゥ。」


夜しか動けない。とはいえ、かかったな。


「アンナさま。この地に『霧雲山』は無い、との事。」


「そうか。で、どこに在る。」


「ここより東、中の東国ひがしくにに在るそうです。」


人と妖怪の合いの子が、重なるように転がっていた。残らず吸われて死ぬのは、人の血が入っているから。



エド大王より『エンを連れ戻せ』と、命を受けた。


不死の才を生まれ持つ、王弟の次男。髪は金、目は紫。青い衣を纏う事が多く、犬に好かれていた。王城に残された資料は少なく、伝え聞いた情報に頼る他ない。



はじまりの一族から、全ての才を奪ったバケモノ。大王から王座まで奪い、我らを地下に追いやったバケモノ。


幾ら殺しても、殺し足りない。なのに、化け王は死なない。



王位を奪還するには、不死の才が要る。それは解るが、化け王を殺す方法を見つける方が、手っ取り早いのでは?




「にしても、何だ。下等生物しか居らんのか。」


「人の残骸はアチコチに。角を生やした生き物を見ましたが、アレは何でしょう。」



考えられるのは、伝説級の何か。あるいは魔族。はじまりの一族の他にも、尊い一族が?


いや違う。アレはうなるばかりで、獣と変わらん。血は美味かったが、それだけ。



「はじまりの一族で無いコトは、確かだ。」


「はい。」



化け王を倒すには、不死の才が要る。不死の才が有れば、どんな姿になっても死なない。日を浴びても、胸を貫かれても、骨が砕けても。


偉大なるジョド大王が、何度も何度も、繰り返し戦場に送った。深手を負っても死なず、心は脆弱だが体は丈夫。公文書に明記されていた。


一刻も早く、アンリエヌへ御戻り頂かねば。才をふるうか譲渡するか、選んで頂く。そのために!



「行くぞ、マリィ。」


「ハッ。」






「何だ、あの生き物は。」


モヤモヤっと現れた、使い蝙蝠こうもり


「さぁ。」


「聞いた事ナイ、言の葉だった。」


プランとしたまま、仲良くパチクリ。



「『霧雲山』って。」


「言ってた。」


「お知らせしよう!」


静かに、パタパタァ。



竪羅山たてらやまには、妖怪の墓場がある。おにときは閉ざされているが、許されれば出入り出来る。


隠の世から妖怪の墓場。妖怪の墓場から、人の世へ。保ち隠は犲の妖怪、もち。蝙蝠も犲も、夜の生き物。話せば分かり合える。



「望さま、大事おおごとです。」


「何が有った。」


「人の姿をした何かが、やまとに入りました。」


「解った。行け、許す。」


「ありがとうございます。」



蝙蝠とは思えない早さで、飛び去った。さすが隠!


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