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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
531/1587

8-15 宴会どころじゃ、ありません


杵築大社きづきのおおやしろでの神議かむはかり、とどこおる事なく終了。


うたげを楽しまれる神、サッサと御帰り遊ばす神。使わしめと、出雲観光を楽しまれる神。参加賞と土産物をゲットし、御満悦の神など、イロイロ御坐おわす。



大蛇おろちは急ぎ、おにときへ。良村よいむらに飛んで帰りたい。そんな気持ちをググッと抑え、和山社やぎやまのやしろへ。



良村がある良山よいやまは、マルの力で守られている。隠の世は、隠神がお守りくださる。よって闇にさらされる事も、闇を感じる事も無い。


だから直ぐ、気付き為さった。ブワッと広がる闇に。大貝山の統べる地に御坐す神も、気付き為さる。



大社おおやしろ一九社じゅうくしゃも、闇から守られていた。けれど他は闇、闇、闇。


出雲が在るのは、中の西国にしくにしづめの西国が隣に在るとはいえ、これほど濃い闇が流れ込むとは。



はかりの間も、闇を身近に感じた。隠神だから? いや違う。耶万やまから溢れた闇より、ずっと深く濃い闇が、西国で溢れたのだ。






「七日の間にもたらされた、全て。重い事より一つづつ、聞こう。」


和山社に戻って直ぐ、ズバッ。



出るわ出るわ。大蛇じゃなくても、頭を抱えます。


鎮の西国から『闇が溢れた』と知らせを受け、一月ひとつき。中の西国から『闇が溢れた』との知らせ。二月ふたつきのち真中まなか七国ななくにから『闇が溢れた』と。


鎮の西国、中の西国、真中の七国。いづれも、隠の世は閉じたまま。中の東国ひがしくにで闇が溢れたのは、耶万だけ。大祓おおはらえにより、祓い清められた。


四つ国と南国みなのくに、鎮の東国は落ち着いている。海に守られていても、人が動けば闇も動く。よって気を引き締めて、事に当たらねば。



「鎮の西国、中の西国、真中の七国より溢れし闇。隠の世とは関わりナシ。よって捨て置く。」


人の世のコトは、人の世の神に任せる。それが蛇神、大蛇の考え。


「とはいえ、大祓の申し入れが有れば、考える。」


考えるダケ。動くとは限らない。



八百万やおよろづの神が御坐すのは、人の世。隠の世は違う。隠神は一柱づつ、隠の世に御坐す。大蛇神おろちのかみは和山社に。治めの隠は、統べる地に。



烏神も狗神いぬがみ鼠神ねずみのかみも。狐神も熊神も鵟神のすりのかみも。鳶神、梟神、亀神も。他の隠神も、一柱のみ。


使い隠は多いが、人の世で大祓を行う事は無い。頼まれても断る。



「猫神は、まだか。」


「はい。『人の世の神が、戻られるまでは』と。」


郡山こおりやまに在る隠の世。治めの隠神で在らせられる猫神は、謹厳実直きんげんじっちょく


「そうか・・・・・・。」


鎮の西国の神は、酒宴を楽しまれて御出でか。



出雲で、あの濃さ。儺国なのくにの闇は燃える水より、ドロドロのギトギト。大祓、どう為さる。


統べる地どころか、鎮の西国まるごと。三柱、九柱でも足りぬ。少なくとも八十一柱。



耶万から溢れた闇は、大貝山の統べる地が閉ざされた事により、とどまった。社を三柱、統べる地を三柱、中で一柱。隠の世より三柱。十柱の御力で、何とか。




「申し上げます。」


使い隠が息を切らせ、飛び込んできた。


「猫神は、戻られたか。」


「はい。戻られて直ぐ、バタンと御倒れに。」


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