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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
526/1582

8-10 早く御戻りください


「申し上げます。しづめ西国にしくに対国ついのくににおいてウンタラ、カンタラ・・・・・・。」


「申し上げます。鎮の西国、珂国かのくににおいてナンタラ、カンタラ・・・・・・。」


「申し上げます。アーダコーダで・・・・・・。」



「カァ。」


「烏神。溜息をくと、幸せが逃げるそうです。」


「溜息の百や二百、吐きたくもなる。」



「クゥ。」


「狗神。溜息より、遠吠えです。」


「そのような力、残っておらぬわ。」



「チュゥ。」


「鼠神。お疲れのトコロ、申し訳ありませんが。」


「また西国か?」



・・・・・・大蛇神おろちのかみ、早く御戻りください!






恐れながら申し上げます。


三柱が叫びたくなる御気持ち、良く分かります。上司の長期出張中に限って、発生するのですよ。トラブルってヤツは。


連絡を取ろうにも、重要会議中で電源が切られている。もう、どうすりゃイイの?



和山社なぎやまのやしろは真っ白。好待遇で働きやすく、離職率が低い。労働環境に不満はアリマセン。しかし、何なんですか。この申し入れの数は!


なんて叫びが、やしろのアチコチから聞こえます。中つ国では人のときも、おにの世も大騒ぎ。






耶万やまの闇ははらい清められたが、西国の闇は。」


大祓おおはらえでは、どうにも。」


「妖怪の血が強すぎる。」



イザコザが絶えない西国を嫌い、離れた隠や妖怪は多い。西国から四つ国、南国みなのくに真中まなか七国ななくになど。


中の東国ひがしくには人気が高く、移住許可を取るのが難しい。よって選ばれない。なのにドドドと、押し寄せた!



やまと隠の世の、全てを統べる山。和山なぎやまに住まう神神かみがみは、隠の世をお守りくださる。偏る事なく、広く等しく、お守りくださる。


はい、守ります。けれど何だ、この数は。手に余る。



いくさ、戦で、むくろには困らぬ。」


「にもかかわらず、食らい尽くした。」


「飢えを満たすため、とはいえ。」



とりあえず今は、新たな闇は押さえられている。大社おおやしろから御戻り遊ばすまで、耐えるより他ない。



「申し上げます。大蛇神より、言伝ことづてを・・・・・・。」


使い蛇、パチクリ。



驚くのも無理は無い。和山社に御坐す、数多あまたの隠神。揃って、ゲッソリして御出でなのだから。



「大蛇神より、『皆で、どうぞ』と。」


出雲名物『神在団子かみありだんご』をスッと差し出し、ニッコリ。



出雲を発つ時、『ナゼこんなに?』と思いました。こういうコトでしたか。オッとイケナイ、御伝えせねば。



「『耶万で生まれる、人と妖怪の合いの子。大貝社おおかいのやしろを通し、申し入れが有れば、隠の世で引き取る。詳しくは戻り、伝える』との事。」


・・・・・・ポッカァン。


「神在団子。甘くて、美味しいですよ。」


どうぞ、どうぞ。


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