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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
大貝山編
524/1583

8-8 軌道修正、なるか


しづめ西国にしくにに在る、十の大国おおくに岐国きのくに対国ついのくに崎国さきのくに熊国くまのくに分国いたのくに筐国かごのくに儺国なのくに珂国かのくに筑国ちのくに糟国ぬのくに。十の大王おおきみは、鎮の西国を一つに。そんな待望を抱いていた。


いくさ、戦、戦。奪い奪われ、奪い合い。多くの命が失われ、深い闇が広がった。あちらこちらで、人と妖怪の子が。多くが生まれて直ぐ、親を食らい尽くす。



人の血が強いか、弱いかで決まる。人の血が強ければ、人に近い姿で育つ。親が死んでも、誰かに引き取られて育つ。


人の血が弱ければ、食らい尽くす。里を滅ぼし、村を滅ぼし、何れ国を滅ぼすだろう。生きるため、生き残るために。




人のときの神は、良くも悪くもオットリ。おにの世の神は守るため、出来る限り備え、整える。よって人の世は、ただ流されるまま。隠の世は直ぐ動き、わざわいの芽を摘む。


耶万やまと同じ事が、鎮の西国で起きたら・・・・・・。間違い無く闇に飲まれる。人が死に絶え、妖怪の国が出来上がるだろう。






あっちこっちに話が飛び、眩暈めまいが・・・・・・。何とか持ち直され、大貝神おおかいのかみ。クワッ。


「耶万いや、大貝山の統べる地での事。とりあえず決まった。次に話し合うのは生まれてくる、望まれぬ子。」


軌道修正を、試みなさった。



やしろで引き取る。ここまでは、良い。」


アコが戻ると御知り遊ばし、ホッと為さった耶万神やまのかみ


「耶万の王か、社の司が頭を下げれば、風見かぜみは動く。と、思うのだが・・・・・・。」


風見神かぜみのかみ、ゴニョゴニョゴニョ。


早稲わさは動くでしょう。人は送りませんが、食べ物は少し。」


さすが御食神(みけつかみ)! 何だカンだ言っても、早稲は豊か。村はボロッボロになりましたが、早早そうそうに持ち直しました。




早稲と風見は考えを改める。耶万の事で多くを学び、互いに仕掛けないと決め、結んだ。



わざの風見、技とてだての早稲。国と村だ。数では劣るが戦となれば、しまいに勝つのは早稲だろう。


その早稲が耶万に手を差し伸べれば、風見も続く。動かざるを得ない。



大倉と大稲には、耶万の人が逃げ込んだ。よって出来る限り、助ける。大倉と大稲が動けば、実山みのやまも動く。実山が動けば、きっと浅木も。


風見が動かなければ、取り残される。『早稲が動いたのに、なぜ』と。風見の新しいおさは、流れを読むコトにけている。だから動く。早稲が動けば、共に。




万十まと氛冶ふやと話し合い、要る物を多く持ち込んだ。」


「耶万の生き残りは、子が多い。親が命懸けで守り、外に出した。」


万十神まとのかみ氛冶神ふやのかみ



「耶万から逃げ、滅んだおのの国へ戻った事で、生き残ったと。先ほど、あちらで。」


通りすがりに御聞き遊ばした、大実神おおみのかみ


「生き残りを一人だけ戻した事で、伝わったハズ。中の東国ひがしくにの奥には、恐ろしい何かが、と。」


ズバッと、海神わだつみのかみ



「妖怪の血が強ければ、育つのも早いだろう。」


大蛇神おろちのかみ。涼しい顔して、オソロシイ事を。


「そうなりますか。」


ポツリと、殺神あやかみ


「人の世で難しそうなら、隠の世で受け入れよう。」


大蛇神のおおせに神神かみがみ、ホッ。


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