8-7 見守り一択。だが、しかし
耶万から溢れた闇は、大貝山の統べる地に広がった。妖が強く出る子がポンポンと、多く生まれるだろう。その子を守るため、話し合いを。
人と妖怪の合いの子など、他では生まれない。そう思っていた。思っていたのに!
「大蛇神。考えたくは無いのですが、望まれない子が、その。・・・・・・他にも?」
怖ず怖ずと、大貝神。
「今は多く無い。が、増える。」
「今は。」
「そうですね。」
「耶万の子。」
「アコ。」
瀕死状態で保護されたアコは、良那で目覚めた。と同時に眠っていた、闇の力が目覚める。
「闇の力とは。」
「悪いモノでは。」
「そうなのですが。」
耶万神、早稲神、風見神、殺神。海神、津久間神、具志古神。早口で仰せに。
「闇とは、いやはや。」
万十神。
「守りの力ですよ。」
氛冶神。
今の耶万には長が居ない。ボロボロになった耶万を守りながら、治められる長。そんなの直ぐに、決まるワケがナイ。決まっても教え導かなければ。
そこで長が決まるまでの間、長を万十の大臣イツ。支えを氛冶の大臣、アヤが務める事に決まった。
万十は、耶万から近い大国。氛冶は、海に近い大国。鎮の西国や、真中の七国が攻め込んでも、しっかり守れる。海から、直ぐに向かえる。
耶万は多くの国を取り込んで、とても大きく広くなった。もし西国や、真中の七国の手に落ちれば? 間違い無く脅かされるだろう。
「耶万神。継ぐ子アコを、愛し子にしては?」
「それは良い。」
万十神、氛冶神。二柱ともノリノリ。
「耶万神。愛し子にせずとも守れるが、アコを守りたいと御思いか?」
・・・・・・守りたい。耶万で暮らす、全てを。
「隠が憑くことで、独り身を貫く。というコトに、なるのでは。」
「そう、なのか?」
マルは幼い。誰かと出会い、契りぃ?
ドコのダレが、我の愛し子を! 良村の皆に認められるような男でなければ、決して認めぬ。マルが欲しくば、我を倒してからにして貰おう。キリッ!
「大蛇様。そのような人、居りません。」
控え目に、牙滝神。
「そうか、居らぬか。」
大蛇、御満悦。
良村の皆に認められる男は、居るかも。しかし神を、それも『はじまりの隠神』を倒せる人など、居ません。
「愛し子の事は扨置き。耶万の国を、耶万社の者が抑える。というのは、どうだろうか。」
早稲神の提案に神神、大賛成。