8-4 神議り、スタート
「耶万神。議りの後、少し宜しいか。」
良神、那神。二柱で、良那神。夫婦神で在らせられる。
「私も、宜しいか?」
万十神。
「耶万の事で、話し合いたい。」
大稲神。
「幾人か、社に迎えましたので。」
大倉神。
「そういうコトなら、私も。」
大貝神。
耶万は戦好きだが、耶万神は違う。禍津日神として、求められるまま。愛されたくて認められたくて、望まれるまま禍を撒き散らし、苦しみ為さる。
それはソレでどうかと思うが、この度の事で考えを改め為さった。禍津日だから、なんて考えポイッ。これからは耶万を守り導くため、力を尽くすと御決め遊ばす。
早稲神、風見神、殺神。大貝神、津久間神、具志古神、海神。鳶神、梟神、亀神。十柱も力添えくださったのだ。
耶万が滅ぼした国、挙げればキリが無い。
多くは幸いな事に、社が壊されても御坐した。御隠れにならず、お守りくださった。だから闇が溢れても飲まれず、多くの命が守られた。
人は強い。生きている限り、幾度でも立ち上がる。
中つ国は今、あちらこちらで戦、戦。人の欲は、止まる所を知らない。だから戦はナクナラナイ。悲しい事だが、それが人。
諦めれば終わり、だから諦めない。祝は居ない、力を持つ子も生まれない。それでも何とか、力を尽くす。
人に伝える術が、無いワケではナイ。耶万神の使わしめ、マノ。隠なので、妖の術は使えないが、闇には強い。
人は誰でも心に、深い闇を抱えている。それを上手く操り、良い方へ導くのだ。争いの無い、美しい国へ。誰もが和やかに、穏やかに暮らせる国へ。
その手助けが出来れば。
「はい。宜しくお願い、申し上げます。」
耶万神、ニッコリ。
「我も、良いか。」
大蛇神、飛び入り参加。
はじまりの隠神が加わる。つまり『隠の世も見届けるヨ』と、いうコト。外野は、黙るより他ない。
人の世も隠の世も、中つ国にある。とはいえ隠の世は、人の世とは大きく異なる。天つ国と根の国、どちらとも結んでいるから。
何かあれば。否、そうなる前に動く。それが隠の世。やまと隠の世を統べるのが、大蛇神。はじまりの隠神で在らせられる。
同じ中つ国に御坐すとはいえ、隠の世と人の世の神はイロイロ違う。神サマの世界にも、あるのヨ。
御口をムグムグ為さる神神、御目がコワイ。けれど気にしない、へこたれない。より良い時を生きるため、努めるのみ!
「では、はじめましょう。神議りを。」
大国主神、開会宣言。
さぁ始まりました。神による、出会いキッカケ大作戦。誰と誰の縁が、結ばれるのでしょうか。