8-2 言いたい事があるなら
中の東国、耶万での大祓。人の世からは六柱、支え一柱。隠の世からは三柱。
出雲の神議りに御出で為さるのは、人の世の神。
殺神、風見神、早稲神。津久間神、具志古神、海神。大貝神、そして耶万神。八柱、ゲッソリ。
いろいろアレコレ、こそこそチクチク、言われるだろうなぁ。気が重いなぁ。七日も耐えられるかなぁ、などナド。考え為さるコトは同じ。
「伊那佐の小濱、見えました!」
・・・・・・ハァ。
「溜息を吐くと、幸せが逃げると申します。」
使わしめ、ニコッ。
受付を済ませ、一九社にチェックイン。神議りが行われる上宮へは、ココより御出勤。議りが終われば寄り道せず、真っ直ぐ御戻り遊ばす。
八百万の神が御泊り遊ばす社が、一九じゃ足りないぞ。そうお思いに? イエイエ、心配ご無用。一九は古代より、無限大や永遠を意味しますので。
一は、物事の始まり。九は、物事の終わり。始まりと終わりを示す、それぞれの数字が合わさった一九は、無限大。
一年に、たった一度。議りのためダケに、いらっしゃいます。クッタクタで御戻り遊ばしても、大丈夫。連日連夜! 祝詞や神楽を、お楽しみ頂けます。
「これはこれは耶万神。闇が社から、溢れたそうで。」
ドコの世界にも居ます。イジワル。
「はい。」
「社を空けて、宜しいのですか?」
問題ありません。大社での議りの間、隠の世の神が、シッカリお守りくださいます。
「死んだ祝が、妖怪になったとか。」
「隠ではなく、妖怪に?」
「恐ろしいオソロシイ。」
確かに珍しいケド、無くはナイよ。
「隠神も三柱、御力を揮われたトカ。」
「隠の世にまで!」
「いやはや。」
言いたい放題。タダでさえ長旅で疲れているのに、止めてよ。ノンビリしたぁい。
「騒がしい!」
大蛇神、ドーン!
「はっ、はじまりの。」
「隠の世より力を揮うたのが、気に入らぬのか。」
「いえ、いえイエいえ。」
サァァっと引いた。わぁい、貝とろっと! なんてネ。潮干狩、するなら春がオススメよ。
「中の東国、大祓の事。和山社で聞こう。」
言いたい事が有るなら、隠の世へ来い! ってコトです。
「大蛇様。私にも、お手伝いさせてください。」
牙滝神、ニコッ。
「ありがとう、ウタ。助かる。」
二代目、牙滝神。幼名ウタ。名付け育てたのは大蛇です。つまり、二柱は親子!