8-1 会議だよ、全神集合!
耶万から溢れた闇は、大祓により清められた。ホッと一息。なのに直ぐ、始まりました。神議り@出雲。行きたくないよ、休みたい。欠席連絡よろしくネ。なんて、通るワケがナイ。
チクチクちくちく、ヤな感じ。どこにでも居るんです、意地悪。で、とんでも無いコト起きました。助けてください? 知らないよ。雨降って地固まった、大貝山の統べる地。対して、イジワルなさった神の統べる地は・・・・・・。
かもしれないカモシレナイ、分からない事が多すぎる。だからって諦められない、諦めない! 大貝山編、はじまります。
一年に一度、杵築大社。八百万、千万神の神集ひ座して、神議り。
平たく言うと、『神サマいっぱい集まって、会議するよ』と相成る。遠かろうが眠かろうが、気乗りしなくても、お腹が痛くても必ず! 御出に。
強制参加、強制出席、強制収容。やまと国つ神連盟、三Sである。参加賞として最終日、御神酒一甕が贈られる。勿論、大吟醸。
やまと全国、津津浦浦から厳選された銘酒が集められる、夢の祭典。飲兵衛にはタマラナイ。
古代にも、自宅警備員は存在する。
神様いろいろ、好みもイロイロ。『お酒より、甘いモノが好き』『神混みはイヤ』『社から出たくない』などナド。ぐずぐずとアレコレ仰り、天の岩屋戸よろしく、御籠り遊ばす。
そんな時、活躍するのが使わしめ。酒宴、じゃナイ。議りの御知らせを掲げて、ニッコリ。宥め賺して連れ出し、議場へポイッ。
神議りの間、使わしめは満喫する。観光、美食、散策などナド。羽を伸ばせる大チャンス! 逃してなるものか。本気を出した使わしめに、敵うとでも?
「我は出ぬぞ。」
「そう仰らず。」
大社の使い兎、涙目。このままでは、出雲に帰れない。
「おりょち、いてらっしゃい。」
ニコッ。
「・・・・・・はい。」
はじまりの隠神、大蛇。隠の世、和山社に御坐す。
人の世でウッカリ初代、牙滝神に就任。いろんな御誘い、悉くプイッ。大社の議りのみ、今の牙滝神で在らせられるウタさまが、代わりに。
愛し子マルが良村に、石積みの社を作った。大蛇社である。村の皆からも崇められ、人の世の神位、再びゲット。出雲の議り、出ないとネ。
「いやぁ! 出たくないぃぃ。」
「山守神。務め、果たされませ。」
「果してるモン。」
「可愛く仰っても、連れ出します。」
「シズエ冷たい。私、泣いちゃう。」
「どうぞ。引き摺り出して、縛り上げて、輿に御乗せ致します。」
笑顔だが、手には縄。この妖狐、本気である。
「大貝神、そろそろ。」
「土。この度は休んでも、良いのでは。」
「イケマセン。さぁ、御乗りください。」
「趣のある輿に・・・・・・。」
「ハイ。私の糸で、繕い直しました。」
特製袋スポッ、口をシュッ。引き寄せてポンッ。
「つ、土?」
「参りましょう、出雲へ。」
一柱、ご案なぁい!
「ハァ。」
「早稲神?」
「実、休もう。眩しくてクラクラする。」
「では遠回りして、隠の世から。」
「いやっ、それは。」
「さぁ、参りましょう。」
手段を選ばない狐、実。アルカイク・スマイルが、マブシイ。
他の社でも使わしめ。岩屋戸を、エイッと開く。隠も妖怪も力持ち。笑顔で優しく? エスコート。