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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
514/1584

7-157 なぜ私は


タヤの死因を聞き為さった耶万神やまのかみは、深く悲しみ、荒ぶられた。それからだ。やしろの皆から力が消え、祝が生まれなくなったのは。


耶万神は禍津日神まがつひのかみだが、皆の幸せを願われる。どんなに小さくても、幸せは幸せ。その幸せを壊すなんて、有り得ない。



どうしても許せなかったのだ。女を二度ふたたび、殺すなんて。



だから奪った、だから閉ざした。見えなくなると困るので、社の司には見せた。見えない物が見えるダケで、祝の力は与えない。


そう。耶万神はタヤを慈しみ、見守っていらした。そのタヤが・・・・・・。






「ダズゲデ。」


「ジニダグナイ。」


「ユルジデ。」



何奴どいつ此奴こいつも、助けろ? 死にたくない? 許せ? 寝言は寝て言え。骨と皮になっても、まだ求めるか。



「ギャァァァァァァ。」


「ヴォォォォォォォ。」


「ヴァァァァァァァ。」



ワラワラ寄るのから残らず奪い、急ぐ。






このままでは清められてしまう。その前に何としても、神を妖怪に変える。念珠ねずを救うには、他に手立てが無い。


可愛い念珠、私の宝。必ず助ける、守り抜く。だから、もう少し待ってね。ぐ戻るから。



「ギャァァァァァァ。」


なにコレ。社の周りにも、光の壁?


「えっ。」


手が透けて、ヒビが入ってボロボロと。


「タヤァァァ。」



この儀は大きい、大きすぎる。光の柱、一つじゃ無い。社に三柱、周りに三柱。だからね、タヤ。少なくても六柱、支えてるんだ。


清めの力を持っていても、触れたら消えるよ。



「ずっと共に、そう言ったでしょう。」


タヤに巻き付く。


「大好きだよ。」


グルグル巻き付く。


「タヤ。」



念珠から闇が注ぎ込まれ、崩れが止まった。ヒビは入ったままだが、動ける。



「生きて、タヤ。」


「ずっと共に。そうでしょう、念珠。」


「そうだね。」






なぜ私は、憎しみをいだいてしまったのだろう。仕返しなんて望まなければ、おにで居られた?


妖怪になったから、念珠に会えた。だから良いの。でも、会えなくなるのは嫌。だからね、このまま消えましょう。



私たち、奪いすぎた。私を殺したのだけ、殺せば良かった。それでめて終わらせれば。


許せなかった、女を酷く扱う男が。女をモノ扱いする男が、女を甚振いたぶる男が。女の心と体を、笑いながら壊す男が、どうしても許せなかった!



直ぐに奪えば、多くの女を救えたのに。憎しみにとらわわれて私、動けなかった。




・・・・・・ごめんなさい。


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