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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
513/1583

7-156 タヤ、生きて


再び、黄泉湖よもつみずうみへ。水筋を辿り、大貝社おおかいのやしろの近くまで。



「土、聞こえるか。」


・・・・・・? キョロキョロ。


「頭の中へ、じかに話して居る。」


そんなコトって。・・・・・・隠神おにがみ


「そうだ。落ち着いて聞け。」



フムフム、なるほどナルホド。解りました。土、掘りまぁす。ピョン! かぁらぁのぉ、ズサズサズサァァ。



ドドッ、ドドドドドッバァァン。



大貝社の隣に、泉が湧きました。噴き出した水の上で土、喜びの舞? ・・・・・・違うようです。


おや。風に乗り、飛び上がりました。良かった良かった。



大貝神おおかいのかみ、蛇の光です。どうぞっ!」


テイッと振った尻の先には、大きな糸袋。宙を舞い、ガバッとオープン。飛び出した光が、大貝神の御元へ。


「オォ~!」


心と体に染み渡るぅ。



グワンと気が揺れた。大貝社から、統べる地に広がる。耶万やまを囲む三柱、統べる地を囲む三柱。六柱にも行き渡り、勢い付く。






「ギャァァッ。」


タヤと念珠ねずの目から、赤黒い涙が流れた。


「念珠、念珠。シッカリして、念珠。」


バタッと倒れ、動かない。



念珠は若い妖怪。人にたとえるなら、五歳前後。


通常なら三柱で行われる儀に、九柱も。そのような儀に、若い妖怪が耐えられるワケが無い。して体の小さな蛇など、言わずもがな。



「念珠、お願い。目を開けて!」


「・・・・・・た、や。い、きて。」


グタッ。


「嫌ぁぁ。念珠、念珠ぅぅぅ。」


タヤの腕の中で、透けてゆく。



耶万ドコロでは無い。タヤは急いで、闇を念珠に注ぎ込む。『生きて』と呟きながら、ドクドク注ぎ続けた。



「・・・・・・い、け、ない。」


「念珠! 良かった。」






少しづつ狭まりながら、輝きを増す。念珠は悟る。大祓おおはらえの儀により、耶万から闇が消えると。


光の柱に閉じ込められたら、おにでも妖怪でも同じ。跡形もなく消える。タヤも念珠も妖怪だが、タヤは他の妖怪とは違う。


元、祝。清めの力を生まれ持ち、妖怪になっても力を保った。タヤなら、タヤだけは助かるかも。



「タ、ヤ。やまの、かみに、ねがい、で、よう。」


「念珠?」


「タヤ、から、うばった、のは、おと、した。かみは、ね、タヤ。」



キィィィィィン。ズズズズズ。



光の壁がドンドン迫る。断末魔の叫びが響き、引き抜かれた闇が清められてゆく。



「念珠、ココにいて。」


優しく微笑み、やしろへ向かう。


「タヤ、生、きて。おね、がい、だよ。」


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