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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
512/1584

7-155 緊急事態


光の柱に流れ込んだ闇は深く、清めても清めても追いつかない。それでも腐らず諦めず、力をふるう。


やしろには、信じて待つ使わしめが。難しい事だと解っていて、送り出してくれた。決して裏切れない。






「事ですね。」


天照大御神あまてらすおおみかみ御社おやしろにて、武御雷神たけみかづちのかみ


あまつ国も根の国も、中つ国へ手出しせぬ。見守るのみ。」


「はい。」






「事ですね。」


伊弉冉尊いざなみのみこと。万が一に備え、黄泉平坂よもつひらさかを御閉じ遊ばす。


よろしいのでしょうか。」


控えめに伺う、使わしめ。


「良いのです。閉じたのは坂だけ、他はそのまま。」


「三日三晩、持つのでしょうか。」


「持たせるでしょう。」






「戻った。変わりは。」


蛇神、大蛇おろち黄泉湖よもつみずうみから急ぎ、戻りました。


おにときは清らで、穏やかです。人の世は少し、歪みました。」


「柱に、ヒビでも?」


「いいえ。濁りました。」






大貝山の統べる地を囲み、儀を行う三柱。


津久間神つくまのかみ具志古神ぐしこのかみ海神わだつみのかみ。みなさま、強い力を御持ちだ。



耶万やまを囲み、儀を行う三柱。


殺神あやかみ風見神かぜみのかみ軍神いくさがみ早稲神わさのかみ御饌津神みけつかみ。バラバラだが祀られ、守る地が近い。さらされ続けた事で、闇に強く御成り遊ばす。



六柱とも御強い。しかし、どうしたものか。






耶万の罪人からは、ドンドン闇が湧き出る。幾ら搾り取っても、底無し。それだけ罪を重ねた、というコト。


ぶら下げた餌に群がる妖怪。隠を食らえば食らうほど、ひたいの角が伸びる。



「剝ぎ取った大王おおきみどもの魂、この手にある限り、闇は深まる。妖怪の角が伸びる。」


苦しみながらタヤ。


「そうさ。伸びて伸びて、コイツらを貫く。」


タヤに寄り添い、微笑む念珠ねず




ピキッ。




「申し上げます。大祓おおはらえ、二日め夜。光の柱に、ヒビが入りました。」


使い梟が飛び込み、平伏す。


「して。」


大貝神おおかいのかみが、膝を折られました。」


・・・・・・マズイ。



今、大貝山の統べる地が開けば、闇がバッと広がる。大祓が終わるまで、何が何でも閉ざし続けなければ。確か使わしめ、地蜘蛛の妖怪だったな。



「ヒビは隠の三柱が、直されました。しかし、いづれまた。」


「申し上げます。光の柱に、闇が広がりました。」


使い鳶が飛び込み、平伏す。


「なっ!」



隠の世も人の世も、中つ国に在る。二つの世は隣り合っている。もし人の世で、いや違う。直ぐに行かねば。



「もし気触かぶれても騒ぐな。良いな。」


「はい。」


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