表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
511/1585

7-154 無間地獄


南の地には湖が少ない。けれど川や沼、泉は多い。はじまりの隠神おにがみ大蛇おろちは水神。水が有れば、どこへでも。



「さて、この辺りか。」



中つ国と根の国のさかい。鳶神、梟神、亀神が囲む地の真ん中。狙いを定め、清めの力を投げ込んだ。



「・・・・・・ヨシ。」



あまつ国も根の国も、上から下から押さえるダケ。ソレはソレで、大事(おおごとなのだが。


そもそも、これほどの大祓おおはらえ。やまと初! 幾ら隠神が強くても、何が起こるか分からない。鳶神、梟神、亀神の三柱に、清めの力を送るのが精一杯。






「蛇神?」


「良かった。」


「これで何とか!」



気を抜けば飲まれる。大祓は、三日三晩。まだマダ残っている。気を引き締めて、事に当たねば。






「堕ちろ、堕ちろ、堕ちろぉぉぉ!」


タヤが叫び、笑う。



耶万やまに居た人は、死に絶えた。他の地に居たか、逃げ込んだ人は生き残った。しかし、闇の力に苦しんでいる。



「さあ、さあ、さあ、さあ!」


どす黒い闇が渦を巻き、光の柱に襲いかかる。


「これだけの大祓、つらいでしょうねぇ。」


纏う闇を惜しげもなく使い、神神かみがみを追い詰めてゆく。



神なんて見てるダケ。助けてくれない、救ってくれない。ナニヨ、イマサラ。私は尽くした。なのになぶられた、弄ばれた。


ねぇ、教えて。男ってのは女を、何だと思ってんの。穢されて喜ぶ女なんて居ないわ。なのに奴等やつら、言ったのよ。『直ぐに気持ちよくなる』って。なるか!


だから殺した。



その前に甚振いたぶったわ。ちょん切られたくナケレバってね。食わせたわ、犬に。あんなモンぶら下げてるから、罪を犯すの。そもそも、生きてて恥ずかしくないワケ?


下拵しらごしらえを済ませてから、奪ってやった。直ぐには奪わず、ジックリたっぷり苦しめてネ。でもねぇ、ちっとも晴れなかった。だから蓄えたのよ、闇を。



「食らえぇぇぇぇぇぇ!」


ドクドクと闇が流れ込み、光の柱が濁り出す。






ひるむな、力を尽くせ。国つ神だろう。」


六柱の頭に、大蛇の声が響く。


「ヲォォ!」


神の雄叫おたけび、闇を裂く。



「なっ! コレくらい、何とでも。」


「そうさ、タヤ。まだまだイケるよ。」


念珠ねずと見合い、ニッコリ。


大王おおきみども。もがけ、苦しめ。生まれたコトを悔いろ!」



「ごろじでぇぇぇ。」


「じなぜでぇぇぇ。」



奪った分だけ? それでは足りない。だから幾度いくたびも、食い破られる。繰り返し、繰り返し。


殺された者の痛みを、苦しみを、ジックリ味わえ! カラッカラになるまで、搾り取るからな。逃げられると思うなよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ