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祝 ~hafuri~  作者: 醍醐潔
耶万編
510/1583

7-153 黄泉湖へ


耶万やま三柱みはしら殺神あやかみ風見神かぜみのかみ早稲神わさのかみ。大貝を三柱。具志古神ぐしこのかみ津久間神つくまのかみ海神わだつみのかみおにときより三柱。鳶神、梟神、亀神。中つ国で御力をふるわれる。



これだけの大祓おおはらえにも、タヤの闇は動じない。それだけ深い憎しみを抱いてしまったのだ。後に引けない? そんなコトはナイ。けれど、引けなかった。



「堕ちろ耶万! 闇よ、全て食らい尽くせ。」


耶万だけでは無い。耶万が滅ぼした村や国からも、闇が飛んでくる。


「積もり積もったうらつらみ。晴らしたければ、食らえ!」


耶万の大王おおきみ大臣おおおみおみやしろの司など。生きたまま剥がした、罪人の魂を掲げる。



「ヲォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!」



死んだのに、耶万から出られなかった隠。繰り返し妖怪に食われ、壊れた隠。食われ食われて、狂った妖怪。心を壊され、魂まで失った妖怪。


大貝山の統べる地に閉じ込められた、全ての隠と妖怪が、一つになった。






「グッ。」


闇が急に、勢いを増した。


「ヴッ。」


ドスンと、重く伸し掛かる。


「ハッ。」


歯を食いしばり、持ち直す。



六柱は御力を合わせ、闇に挑まれる。大貝山の統べる地から、決して出さない。出せない!






人の世の六柱。統べる地を閉じ、闇をとどめる大貝神おおかいのかみ。七柱の御力を合わせても、全く弱まらない。急ぎ動かなければ、ドバドバと流れ込むだろう。



大蛇神おろちのかみ、このままでは。」


隠の世の情報は全て、和山社なぎやまのやしろに集まる。


「鳶神、梟神、亀神は。」


急を聞いて駆け付けた、使い蛇に問う。


「今は、何とか。」


ゼイゼイしながら、パチパチ瞬き。


黄泉湖よもつみずうみより、中つ国と根の国のさかいへ参る。烏神、狗神、鼠神。社を頼む。」


「はい。お任せください。」


キリッ。





大貝山の統べる地が堕ちても、和山なぎやまは崩れぬ。隠の世のみねが守られる限り、わざわいもたらされる事は無い。


耶万や大貝など、どうなろうが構わん。マルの幸せが守られれば、それで良いのだ。南で幾ら死のうが、滅びようが知らぬわ。良村の者は、巻き込むなよ。


隠の世は閉じた。それでも闇は、ヒタヒタと迫る。隠の世のため、めぐし子マルのため、潜るぞ!



水音を立てずスッと、大蛇おろちの巨体が消える。



中つ国と根の国の境は、アチコチに在る。黄泉平坂よもつひらさかだけでは無い。湖、海、滝、他にもイロイロ。その一つが、黄泉湖。


魂呼湖たまよびのみずうみ魂迎湖たまむかえのみずうみ、底なしの湖を結んだ、真ん中に在る。人の世では、見る事すら出来ない。隠の世からしか入れず、やまと一大きい。


むかし昔の、その昔。根の国からドカンと、闇が噴き出す。『気持ちよく寝ていたのに』と御叫び遊ばし、大蛇神。霧雲山の水を残らず、大穴にち込み為さった。



チョッピリ反省。


以来、隠の世から漏れ出ぬよう人の世から切り離し、和山社が取り仕切っている。


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